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那須川天心は「打たせずに打つ」 皇治戦で浮き彫りになった2人の違いと、天心に残された時間
text by
布施鋼治Koji Fuse
photograph byRIZIN FF / Sachiko HOTAKA
posted2020/10/04 17:02
皇治を圧倒した那須川天心は、キックボクシングに対し皇治とは違った考えを持っている
キックボクサー那須川に残された時間は少ない
気になるのは、那須川の今後。すでに11月1日にはホームリングであるRISEの大阪大会で、“Mr.RISE”裕樹の引退試合の相手を務めることが決定している。
その次は年末恒例の12.31RIZINとなる見込み。すでにRIZIN.24でRISEバンタム級1位の良星から2度のダウンを奪った末に判定勝ちを収めたWKBA世界バンタム級王者の江幡睦が対戦相手に名乗りをあげている。江幡は昨年大晦日那須川に1RでKOされた江幡塁の双子の兄。弟の敵討ちになるのだから、ドラマ性のあるマッチメークといっていいだろう。
その一方で外国人選手の入国制限が緩和されるのであれば、海外の強豪とのマッチメークも夢ではあるまい。個人的には、これまでのキャリアの中で那須川が唯一苦戦したONEムエタイ世界フライ級王者ロッタン・ジットムアンノン(タイ)との再戦を見てみたい。
噂されるボクシング転向への布石なのか、「キックはあと10試合はやらない」とあらかじめゴールを設けたキックボクサー那須川に残された時間は少ない。いまだ続くコロナ禍の中、格闘技を通して世界に夢を与えるという意味でも、RIZINとONE Championshipが話し合う余地はあるはずだ。試合前、皇治が強くプッシュしても実現の機運すら高まらなかった那須川VS武尊は最後のお楽しみとなるのか。
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