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皇治は嫌われ者なのに人気者? 圧倒的不利な那須川天心との闘いに挑む男の大阪愛
posted2020/09/14 19:30
text by
布施鋼治Koji Fuse
photograph by
Motoo Naka/AFLO
これほど評価が真っ二つに割れる選手も珍しい。『RIZIN.24』(9月27日・さいたまスーパーアリーナ)で“神童”那須川天心と闘う皇治は“嫌われ者なのに、人気者”というべきキックボクサーになりつつある。
今年7月、新生K-1を離れRIZINへの参戦を表明すると、K-1ファイターからMMAファイターに転身した平本蓮はSNSで呟いた。
「皇治はお世辞抜きでマジ弱い」
この一言に皇治に世話になった選手は「お世辞抜きでただの嫉妬」と噛みつき、平本ともやり合ったが、皇治は「やる可能性ないとこで選手同士がどうちゃら(やりあっても)意味あれへんよ」と大人の対応をみせた。
「神童を泣かしたろうと思います」
皇治は、お節介な性格でもある。「ファンが一番見たいのは天心vs.武尊」としたうえで、「モタモタしているなら、俺が先に天心を食ったろうと思いますね」「武尊も天心も人生は1回しかないので、後悔してほしくない」と究極の夢の対決を後押しした。勝手に名前を使われた武尊はSNSで不快感を示したが、皇治はそれでも訴えかける。「リスクを背負ってでも動いてほしい。(武尊には)そういうメッセージを伝えたかった」。
果たして、那須川と闘うチャンスは皇治の方に先に訪れた。8月9日のRIZIN横浜大会のリングに上がった皇治は那須川をリング上に招き入れ、「神童を泣かしたろうと思います。今年中にやろう」とアピールしていたが、RIZINは9月大会の切り札として早々にマッチメークした。
筆者はこの一戦を大晦日に仕掛けてくると予想していただけに意外といえば意外だった。とはいえ新型コロナウィルスの影響で大会がいくつも中止となり、ファンからクラウドファンディングで活動資金を募るほど財政状況が逼迫しているRIZINにとっては一戦一戦が勝負なのだろう。出し惜しみなどしていられない。