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内田篤人を鹿島恩師&ブラジル勢も敬愛 マルキーニョス「アツは特別なアミーゴ、兄弟だ」 

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沢田啓明

沢田啓明Hiroaki Sawada

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photograph byToshiya Kondo

posted2020/09/28 11:50

内田篤人を鹿島恩師&ブラジル勢も敬愛 マルキーニョス「アツは特別なアミーゴ、兄弟だ」<Number Web> photograph by Toshiya Kondo

Jリーグ3連覇を喜ぶ内田篤人とマルキーニョス、オリヴェイラ監督、ダニーロ(右端)ら。ブラジル人選手からも“アツト”は愛されたのだ

マルキーニョスが称える最大の特徴とは

 この年、鹿島に新加入したブラジル人選手が3人いた。

 そのうちの1人が、2001年以降、東京ヴェルディ、横浜F・マリノス、ジェフ市原、清水エスパルスを渡り歩き、常に点を取り続けていたマルキーニョスである。

「アツは、スピード、技術があるのはもちろんだけど、最大の特徴はインテリジェンスだと思う。

 守備では、チームにとって最も危険な事態を予知し、それを防ぐためのポジショニングを常に考えていた。プレーに関しては、複数のオプションを用意し、その中から試合の状況に応じてべストの選択をしていた。

 このような姿勢は選手として成長していくうえで非常に重要だと思うんだけど、そのことをまだプロ2年目の若手が理解し、実践していることに驚いた。この賢さがあれば将来、素晴らしい選手になると確信したよ」

祝賀会で「外国へ行くのかい?」と聞くと

 2人は、2010年7月に内田がシャルケ(ドイツ)へ移籍するまでの3年半、一緒にプレーした。そして、年齢、キャリア、国籍、ポジションの違いと言葉の壁を越えて、特別な関係を築いた。

「アツとは、片言の日本語とポルトガル語でよく話をした。僕は、幼い頃からプロ選手になるのが夢だった。若くして親元を離れ、19歳で念願のプロになり、ブラジル国内でステップアップしてから日本へやってきた。最初は言葉、気候、食事、プレースタイルなどの違いに戸惑ったけれど、障害を一つひとつ克服し、継続して結果を出すことができた。そのことに、アツはとても大きな敬意を払ってくれた。

 僕の方も、謙虚でありながら自分の考えをしっかり持っているアツのことが大好きになった。やがて、彼とはアミーゴ(真の友人)になり、いつしか兄弟のような間柄になった。

 2009年末、Jリーグ3連覇の祝賀会で彼に『外国へ行くのかい?』と尋ねた。『どうしたらいいと思う?』と逆に聞き返されたので、『行った方がいいよ』と答えた。

 アツが抜けたら、チームにとって大きな痛手となるのはわかっていた。でも、僕自身がそうだったように、外国で生活し、プレーすることで選手として人間としても大きく成長できる――そう思って『弟』にアドバイスしたんだ」

【次ページ】 ダニーロやファボンも懐かしそうに語る

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