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タブロイド紙の“煽り報道”に要注意 ランパードがチェルシーで名将となるための試練
text by
粕谷秀樹Hideki Kasuya
photograph byGetty Images
posted2020/09/23 19:00
2000年代チェルシーの中盤を取り仕切ったランパード監督。現役時と同じくメディアとの付き合い方も1つの大事な要素となるはず
守備陣を理想に近づけないと……
また、守備陣をランパードの理想に近づけなければならない。パリ・サンジェルマンからチアゴ・シウバ、レスターからベン・チルウェルを獲得したとはいえ、喫緊の課題とされてきたGKは本稿執筆時点で手つかずだ。ケパ・アリサバラガは定位置奪回に躍起だが、昨シーズンのセーブ率は54.5%。ランパードの信頼をすっかり損ねてしまった。
リバプールはアリソン、シティはエデルソンを擁している。ユナイテッドではディーン・ヘンダーソンとダビド・デヘアの激しいレギュラー争いが予想され、レスターのカスパー・シュマイケルは存在感抜群だ。ライバルに比べると、ケパでは物足りなすぎる。
ブライトンとの開幕戦で、レアンドロ・トロサールにミドルシュートを許した。2節のリバプール戦では、サディオ・マネにパスカットされる致命的なミスを犯した。信頼回復どころか、ケパに対する疑問符はより大きくなるばかりだ。
生きのいい若手を軸とする攻撃的なスタイルを、ランパードは今シーズンも貫くに違いない。しかし、GKの問題が片付かない場合は無駄な失点を繰り返し、2強を追撃する一番手ではなく、第二集団に吸収される。
したがって市場が閉鎖する10月5日までに、アブラモビッチの辛抱が続く間に、なんとしてでも一線級のGKを獲得しなくてはならない。
いくつかのメディアは、エドゥアルド・メンディ(レンヌ)との合意を伝えているが、あまりにも未知数だ。チェルシー特有のプレッシャーに耐えられるとは思えない。