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天衣無縫イブラ様、再契約は「ミラン愛のためだけだ」 名門復活へ赤黒根性200%
text by
弓削高志Takashi Yuge
photograph byGetty Images
posted2020/09/21 09:00
来月39歳となるイブラヒモビッチだが、衰えて隠居になるつもりなんてさらさらないはずだ
ミランに欠けていたのは赤黒色の根性だ
タイトルからもCLからも遠ざかっている今のミランも、何者でもない。だから、結果をつかみ取るしかない。
もう何年もの間、ミラン再建は失敗し続けてきた。
3年前、李勇鴻という怪しい中国人オーナー会長は総額2億ユーロの大盤振る舞いでDFレオナルド・ボヌッチ(現ユベントス)を引き抜き、FWアンドレ・シウバ(現フランクフルト)を獲った。翌年の夏には最多得点記録を持つFWゴンサロ・イグアイン(インテル・マイアミへの移籍が濃厚)やDFマッティア・カルダーラ(現アタランタ)も呼んだ。理想はあったはずだが、それを成し遂げるために大事な何かが欠けていた。
彼らに欠けていたのは、赤黒色の根性だ。
執念でもガッツでも表現する言葉は何でもいい。ミラン再建に必要なのは“ロッソネロの魂”とでもいうべきものだ。
ガットゥーゾに電話をしたトナーリ
新入団MFトナーリは、契約の前日、ナポリの指揮官ガットゥーゾに緊張しながら電話をかけた。
“もしもし、ガットゥーゾ監督ですか。あ、あの僕、トナーリです、はい、ブレシアの。それで、明日ミランと契約するんですが、1つお願いがあって……。監督がつけていた背番号8をもらってもいいですか?”
10代の頃から“ピルロ2世”として有名だったトナーリが、実は小さな頃から憧れていたのがミランの闘犬ガットゥーゾだった、というのはよく知られた話だ。
名将アンチェロッティに率いられた黄金の00年代ミランを少年時代の眼に焼き付けた若き天才司令塔にとって、ミランの8番には特別な意味があるのだ。レジェンドOBは、仁義を通してわざわざ連絡してきた古巣の新人の礼儀正しさにいたく感動し、もちろん快く背番号着用を許した。