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堂安律はドイツでまだ“全く無名” 新天地ビーレフェルトで再び成り上がれ
text by
島崎英純Hidezumi Shimazaki
photograph byGetty Images
posted2020/09/16 11:40
オランダからドイツに新天地を求めた堂安律。その野心をブンデスの舞台で発揮してほしい。
オランダにほど近いビーレフェルト
ドイツ国内ニュースでも堂安に関しては、非常に情報が少ないです。
現地時間9月6日には堂安の古巣であるFCフローニンゲンとビーレフェルトが親善試合を行い、堂安も後半開始から45分間プレーしましたが、地元紙の彼への記述は少なく、むしろ同時期にスウォンジー・シティ(イングランド)から完全移籍で加入したオランダ人DFマイク・ファン・デル・ホールンへの注目度の方が高いように思われました。
ドイツとオランダは国境が接しており、物理的な距離は近いです。先述したアイントホーフェンへの渡航も僕の住むフランクフルトから特急列車で約3時間30分の行程で着きました。
EU加盟国でシェンゲン協定が結ばれている両国は国境上での入国審査がなく、「隣駅に着いたら、そこはオランダだった」といった感覚です。
ちなみに堂安が加入したビーレフェルトはノルトライン=ヴェストファーレン州東部に位置する小規模な街ですが、日本人街もある中都市デュッセルドルフまでの所要時間はアイントホーフェン、ビーレフェルトともに約1時間50分と、ほぼ同じ。
すなわち両国には町並みの景観や文化的作法、国民性などに違いこそあれども、地理的距離感に相違はなく、堂安自身も居住地が変わることにそれほど戸惑いを覚えてはいないのではないでしょうか。
近隣諸国リーグへの関心の温度差
ただし、サッカーシーンにおけるドイツ国内リーグと近隣諸国リーグへの関心の温度差にはかなりの違いがあるように思います。
ドイツのサッカーファンの大半はブンデスリーガだけに注目し、ブンデス所属クラブが出場するUEFAチャンピオンズリーグやヨーロッパリーグの動向も追っています。
一方で他国リーグにはほとんど関心を示さず、辛うじてプレミアリーグの上位クラブやラ・リーガのレアル・マドリーやバルセロナなどのニュースを気にかけるだけです。
そうなれば、たとえ隣国と言えどもエールディビジ各クラブなどへの知見はほとんどなく、名門と称されるPSVから来た選手と言えども、現状で堂安に注目しているのは地元サポーターくらいだろうと思われます。