ブンデス・フットボール紀行BACK NUMBER
堂安律はドイツでまだ“全く無名” 新天地ビーレフェルトで再び成り上がれ
text by
島崎英純Hidezumi Shimazaki
photograph byGetty Images
posted2020/09/16 11:40
オランダからドイツに新天地を求めた堂安律。その野心をブンデスの舞台で発揮してほしい。
3トップの右ウイングが特性にハマる
今季のビーレフェルトは堂安以外に先述したファン・デル・ホールン、またアウクスブルクからFWセルヒオ・コルドバなどを獲得しましたが、ファン・デル・ホールンはフリートランスファー、そして堂安とコルドバはローン移籍で、ほとんど移籍金などの資金を投入していません。
限られた資金でクラブ運営を図るのは地方クラブであるビーレフェルトの宿命でもあり、戦力的には2部を戦った選手たちをベースとしてトップレベルのリーグを戦い抜かねばならないのです。ただし、そんなクラブからスターが突如出現して立身出世を果たすのもサッカーというスポーツのひとつのロマンですよね。
そんなビーレフェルトで堂安が任されるであろうポジションも予測されています。ノイハウス監督は主に4バック、アンカー、ダブルインサイドハーフ、3トップのユニットを成す4-3-3を採用していて、堂安の特性に当てはまるポジションは右ウイングです。
ちなみに昨季のビーレフェルトはこのポジションにフランス人の27歳、ジョナタン・クラウスが起用されていましたが、彼はフランス、リーグ・アンのランスへ移籍したため、その後釜として堂安がリストアップされた可能性があります。
堂安のプレースタイルにも変化が必要?
ただ、堂安のプレースタイルにも変化が必要かもしれません。彼のストロングポイントは左サイドから中央へカットインから発現する鋭利なドリブル、左足シュートのパンチ力などですが、オランダでは対策されて停滞した時期がありました。
堂安はフィジカル的には屈強で172センチと小柄ながらもその体躯は逞しく、フィジカルコンタクトの激しいドイツでも十分にプレーできる素養があると感じています。
ただ、局面におけるプレーアクションはオランダよりもドイツの方が強度が高く、容易にカットインなどの個人技を許容してくれるとは思えません。すなわち堂安は個人スキルに加えて、ビーレフェルト流のコレクティブなコンビネーションを駆使する必要性があると思われ、つまりチームプレーヤーとしての素養が求められるはずです。