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堂安律はドイツでまだ“全く無名” 新天地ビーレフェルトで再び成り上がれ
text by
島崎英純Hidezumi Shimazaki
photograph byGetty Images
posted2020/09/16 11:40
オランダからドイツに新天地を求めた堂安律。その野心をブンデスの舞台で発揮してほしい。
長谷部が言っていた「評価」の意味
ドイツ・ブンデスリーガで14シーズン目を迎え、今季ついにリーグ最年長選手となったアイントラハト・フランクフルトの長谷部誠はかつて、僕にこんなことを言っていました。
「このヨーロッパで本当に評価されるのは1試合、1年間という限られたシチュエーションではなくて、長期的にそのレベルでプレーし続けて、なおかつ高いレベルのリーグや大会などで明確な結果を得た選手であると思うんですよね。その意味では、僕自身も含めて、日本人でそのような働きができた選手は数少ないんじゃないかな。
今は若い日本人選手が海外でプレーすることが多くなりましたけども、彼らにもそこを目指してほしいと思う。1試合じゃなくて、何年にも渡ってコンスタントに良いプレーをして、それを所属クラブのサポーターに認めてもらえるような選手に」
今年2月に公言していた堂安の夢は「チャンピオンズリーグ優勝!」でした。ならば今は、その彼の未来への過程に過ぎません。物怖じしない性格、少年時代に抱いた大志を抱き続ける純真で高潔な信念、そしてあの魅力的なプレースキル……。
ビーレフェルトの今季ブンデスリーガ開幕戦は長谷部と鎌田大地が所属するアイントラハトのホーム、コメルツバンク・アレナでのアウェー戦です。「リツ・ドーアン」が一介の選手ではないことを示す戦いは、まさに今、この瞬間から始まるのです。