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大坂なおみ「正直、ちょっと楽しんで」全米決勝へ 隔離生活、激闘にもブレないハート
text by
山口奈緒美Naomi Yamaguchi
photograph byGetty Images
posted2020/09/11 20:00
ブレイディとの2時間余りの激闘を制した大坂なおみ。2年ぶり2度目の頂点へ、時は来た。
ウィナー35本ずつの素晴らしい激闘
ウィナーの数は35本ずつ。互いにショットの精度を高め合うように、相手の甘いショットを見逃さずに果敢にウィナーを奪い合った。両者とも最後まで精神的に崩れず、態度も乱れず、プレーの質は落ちなかった。ファン、レジェンド、メディア――さまざまな目線からこの一戦が称えられた所以だろう。
ブレイディは、「私が一番ダメだったところは第1セットのタイブレーク。第3セットの彼女は強すぎた」と振り返り、「彼女のサーブがノッてるときはブレークするのは難しい。だから自分がサーブをキープすることにもプレッシャーがかかる。あの攻撃力はすごい」と脱帽した。
1試合を通して隙はほとんど見せず、たとえ見せても付け込ませず、「第二の故郷」と親しむニューヨークで確実に強さを増していることを示した大坂。「この(ニューヨークでの)2大会の目標はメンタル的により強くあること、全てのポイントに向かっていくことだった。
決勝の相手はアザレンカに決定
決勝の相手が誰であっても、それは変わらない」とリモート会見で語ったときにはまだ決まっていなかった決勝の相手だが、セリーナ・ウィリアムズとの<母親対決>を制したアザレンカとなった。
やはり精神面の充実が話題になっているアザレンカは、2013年の全米オープン以来7年ぶりのグランドスラム決勝で、同年の全豪オープンで連覇を達成して以来のタイトルを狙う。
ケガを経て、出産を経て、大坂よりもはるかに長い時間をかけてこの舞台に戻って来た31歳の元女王は、「今のほうが楽しんでいるし、満たされているし、心地いい」と語り、大坂との決勝については「すごくエキサイトしているわ。先々週と同じようにね。今度は戦えるわよね。素敵な決勝になると思うわ」と話した。