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ハバーツ、ベルナー、T・シウバ。チェルシー“独占市場”で積極補強。でもGKは?
text by
粕谷秀樹Hideki Kasuya
photograph byGetty Images
posted2020/09/08 11:30
補強禁止処分明けということもあり、ランパード監督率いるチェルシーは積極的な選手補強に打って出ている。
バチュアイやエメルソンらが去る?
若手、中堅、新鋭のバランスも申し分ない。
ただ、これだけのメンバーを揃えると、出場機会の減少でだれかが不安を抱き、不平を漏らす。本稿執筆時点で、およそ1億5000万ポンド(約210億円)もの大金を市場に投下しているのだから、金銭的にも人的にもイン・アウトのバランスを考えなくてはならない。何人かの選手は退団を余儀なくされるだろう。
すでにバチュアイが、リーズ移籍に心が傾いているという。エイブラハム、ベルナーとのポジション争いが予想されるジルーの立場も微妙だ。昨シーズン終盤に残留を決意し、チャンピオンズリーグ出場権獲得に貢献したとはいえ、出場機会は約束されていない。
出場機会を重視するなら、ギルモアにはローン移籍の選択肢も浮上してくる。
また、T・シウバの加入でCBとしてのプライオリティが最下位になったズマ、ランパード監督の信頼が厚いとはいえないバークリーも危うくなってきた。さらに、エメルソンも退団濃厚だ。
「チルウェルの獲得が何を意味するのかはよく分かっているつもりだ。チェルシーとはまだ話し合っていないが、インテル・ミラノが関心を寄せてくれている」
エージェントを務めるフェルナンド・ガルシア氏のコメントが、エメルソンの実状を表している。
放出候補の名にはカンテの名前も。
さて、放出候補のなかにはカンテも含まれているという。
世界有数の守備的MFであることに疑いの余地はないが、中盤の序列はジョルジーニョ、マウント、ハバーツ、そしてコバチッチの順だ。
4-3-3を基本陣形とし、中盤は3枚とも攻撃的なタレントを置きたいランパード監督にとって、カンテが豊富な運動量でエリアを幅広くカバーしても、物足りなく映るのだろう。ゲームを締める際には是が非でも必要なタイプだが、監督にはそれぞれのゲームプランがある。