熱狂とカオス!魅惑の南米直送便BACK NUMBER
中島翔哉は今季こそポルトで輝けるか。監督の“許し”と同僚の後押し。
posted2020/09/08 07:00
text by
沢田啓明Hiroaki Sawada
photograph by
AFP/AFLO
8月31日、小柄な背番号10が約3カ月半ぶりにポルトのチーム練習に参加した。これについて、複数の地元紙が「監督の中島への“お仕置き”がようやく終わった」というニュアンスで報じた。
ところが、事実は微妙に異なっていた。
「今、ナカジマがここにいるのは、チームメイトが強く望んだからなんだ」
9月3日、セルジオ・コンセイソン監督がある地元紙のインタビューでこう打ち明けた。
衝撃的な発言だった。実際には監督は中島翔哉のことを許しておらず、今季の戦力とはみなしていなかった。しかし、選手たちから「中島をチームへ戻してほしい」という強い要望を受け、その意を汲んでチームへの復帰を認めた、というのである。
「テクニックは素晴らしい。しかし」
監督は「ナカジマのテクニックは素晴らしい。しかし、フットボールは技術だけではない」、「チームが勝つために最も重要なのは、選手たちのハーモニーだ。もし彼がそれを再び乱すことがあれば、チームに留まることはできない」とも語っている。
昨年7月、中島の前途は洋々として見えた。
ブラジルで行なわれた南米選手権(コパ・アメリカ)に日本代表の一員として出場した直後、移籍金1165万ユーロ(約14億7000万円)でアル・ドゥハイルからポルトガルの名門ポルトへ移った。
チームで2番目に高額の新規加入選手。ピント・ダコスタ会長は中島にエースナンバーを託し、「以前からどうしても欲しかった選手。攻撃の中心として期待している」と語った。