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日韓W杯イタリアvs.韓国の内幕。ヒディンク参謀、勝因と“あのレッド判定”を激白。
text by
フローラン・ダバディFlorent Dabadie
photograph byGetty Images
posted2020/09/07 11:40
デルピエーロvs.パク・チソンのマッチアップなどがあったこの試合だが、モレノ主審の判定が最も話題になった。
ヒディンク、ピム、ゴトビとの議論。
――日本代表にはグループリーグを突破しての一種の達成感と、一種の燃え尽きがあったようにも思うけれど、韓国代表はどうでしたか。
YR:「身体的な疲れはありませんでした。精神的な疲れはなかったと言い切れないけれど、モチベーションとアドレナリンが勝ったのかな。ソウルで試合が出来たのも大きかったです。凱旋上京的な試合でしたね。ナイターでしたし、条件が揃っていました。イタリア戦は待ち遠しくてしょうがなかったね」
――番狂わせを目指して、失うものがないと?
YR:「それはちょっと違いますね。自分たちのサッカーと戦術を強く信じていて、相手がイタリアだから変えることはないと決めたのです。ガスとアシスタントのピム(ファーベーク元豪代表監督/故人)とアフシン(ゴトビ元清水監督)、私の4人でよくディスカッションしたけれど、守りに入っても勝てないと意見が一致しました。
ポルトガル戦同様に高いゾーンプレスをすることによって、韓国の蒸し暑い夏に慣れていないイタリア勢は90分間持たないと知っていました」
イタリアの選手はイライラしていた。
――主審に対する八百長疑惑、色々言われましたが……。
YR:「ポルトガル戦も言われました。でもあの試合のレッドカード2枚も、イタリア戦のレッドカードも文句なしですよ。こういうゴシップに興味はありません。私たちはポルトガルよりも、イタリアよりも、スペインよりもメンタルが強かったんです。イタリアの選手は終始イライラしていました。ハーフタイムだって、トラパットーニ監督がロッカールームで激怒しているのが聞こえたものです」
――ハーフタイムに0-1とリードしていたのはイタリアですが……。
YR:「そうです。でも2点目を決められず、私たちのゾーンプレスがボディブローのようにジワジワと効き始めていたのです。彼らにとっては嫌な予感がしたのではありませんか。逆にガスはロッカールームで非常に落ち着いていて、“自信を持って、冷静に、最後まで戦おう”と言っただけです」