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注目はマスクだけではない。大坂なおみ、コーチが明かす中断期間の“意外な”取り組み。
text by
山口奈緒美Naomi Yamaguchi
photograph byUSA TODAY Sports/AFLO
posted2020/09/04 08:00
2回戦突破後、マスク姿ながら充実した表情の大坂なおみ。オンコートでのメンタルにも注目したい。
「彼女の集中力はすごかったよ」
ベルギー人であるフィセッテは3月に故郷に戻り、なかなかアメリカに入国することができなかったため、大坂とは約2カ月間も離れていたが、ツアー再開までに10週間あまり練習をともにしたという。
前半はネットプレーやスライスなど大坂の苦手な部分をじっくりと鍛え、後半は最大の武器であるサーブを調整し、戦術的な練習に時間を費やした。
「練習を再開してからの彼女の集中力はすごかったよ。抗議活動もやっていたけど、それは僕たちがいっしょにトレーニングを始める前と、途中一度僕が家に帰った10日間ほどのことだ。彼女はとても計画的だ。その期間にスポンサー関連の仕事や写真撮影なんかも全部まとめてやっていた。だから練習には100%の力を注ぐことができていた」
「人としての部分を見てもらいたい」
それが嘘でないことは、前哨戦の初戦からこれまでのプレーを見れば明らかだ。体もフィットしているし、動きもいいし、落ち着いている。
先週、大坂はこの半年近くをざっくりと振り返った。
3月初めのインディアンウェルズの大会がキャンセルされたのがツアー停止の始まりだったが、その1~2週間後にはロサンゼルスの自宅でヒッティングパートナーやフィットネス・トレーナーとともに練習を始めたという。しかし、懸命に練習している姿はあえて見せなかったそうだ。
「みんな、こんな練習をしている、みたいな動画を上げたりしていて、私もそれには興味があったけど、私はこの機会にテニスプレーヤーとしてではなく、人としての部分を見てもらいたいと思った」