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憲剛復帰戦で輝いた旗手怜央の強み。
客観視と、ライバル三笘薫の存在も。
text by
林遼平Ryohei Hayashi
photograph byJ.LEAGUE
posted2020/08/31 17:30
清水戦で2ゴールを挙げる活躍を見せた旗手怜央。リーグ屈指の選手層を誇る川崎で出場機会を得ている。
「レオのケツ、ピチピチだぞ」
第10節の北海道コンサドーレ札幌戦、2つのアシストを記録した旗手の表情はいつも以上に明るかった。
その要因の1つ目は「通訳の金(明豪)さんに『レオのケツ、ピチピチだぞ』と言われたんですけど、大きくなっている感覚はあります」と笑うほど、一層ガッシリしてきたお尻と体幹の強さを生かしたボールキープからアシストを記録したこと。2つ目は、後半アディショナルタイムの疲労が一番たまっている時間帯に「最後は気持ち。気持ちが強ければ走れる」と、誰よりも走って小林悠のゴールをお膳立てしたことだ。
パターンこそ違うが、フィジカルの強さと最後までゴールに向かう姿勢によってもたらされたアシストは、まさに自身の特徴が詰まったプレーだった。
「みなさんがどう思っているかはわからないですけど、ようやく自分らしいプレーが出せた感じです。ここまでの成長を攻守で見せられましたし、その上で自分の良さであるゴールに向かうプレーが出せたと思います」
手応えをつかめば、結果として数字に出てくるのは時間の問題だった。前節のヴィッセル神戸戦でリーグ戦初ゴールを奪い、今節は2ゴールを記録。打てども、打てどもゴールを捉えられなかった姿はもうない。
ライバルでもある三笘の存在。
また、旗手にとって切っても切り離せない存在がいる。同じ大卒ルーキーの三笘薫だ。
公式戦5試合連続ゴールを奪うなど、圧倒的なパフォーマンスを披露する三笘は、ある意味比較の対象になってしまうところがある。それでも、ライバルであり盟友でもある三笘から刺激を受けつつ、旗手は“追いつくから待っていろよ”と言わんばかりの強い決意を口にしている。
「いまは薫があれだけ点をとっていて悔しい思いはありますけど、その悔しさが変な方向にはいっていなくて、しっかりと自分に向けられているところがあります。もちろん焦ってないことはないですけど、変に焦ってはいないというか。自分のやるべきことはしっかりやって、それをやった上で結果はついてくると思っている。だから逆にもっと薫には点をとって欲しい。世間からすれば『薫すごい』となっていると思いますけど、全然いまはそれでいい。いつかひっくり返してやるというか、そこまでお互いに良さを出し合いながら切磋琢磨していければいいです」
チームの勝利のため、そして自身の成長のため、ハードワークを欠かさず、ゴールへと向かい、結果と内容の両方を求める。