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J一番の注目クラブは本当に攻撃的?
ギラヴァンツ北九州、快進撃の秘密。

posted2020/08/31 20:00

 
J一番の注目クラブは本当に攻撃的?ギラヴァンツ北九州、快進撃の秘密。<Number Web> photograph by FAR EAST PRESS/AFLO

小林伸二監督はスポーツダイレクターも兼任する総責任者として、クラブをJ3最下位より浮上させ、J2での躍進にまで導いた。

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吉崎エイジーニョ

吉崎エイジーニョ“Eijinho”Yoshizaki

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「今、Jリーグで一番面白い」。サッカー専門媒体や、他の書き手からはそう評する声もある。

 まあ個人的には J1への敬意があり、「一番」は川崎フロンターレだと思うが。今季からJ2昇格後に躍進を続けるギラヴァンツ北九州のサッカーには、川崎とはまた違った魅力があるというところだ。

 川崎は、ボクシングで言うならヘビー級王者の楽しみだ。良い時間帯には、前半からじわじわと追い詰めた相手をゴール前の監獄に閉じ込める。そこで個人能力の高い選手たちが縦横を使い分けてパンチを浴びせ続けるのだ。相手が逃れようとするものなら素早いセカンドボール回収でまた閉じ込める。

 いっぽう北九州の楽しさは、軽量級のそれだ。

小林監督「走れない選手は使わない」。

 J3時代に入団した選手、J1からのレンタル選手、J2経験のある選手、大卒新人が機敏に動く。全体的に小柄な選手たちが4-4-2、あるいは4-4-1-1の布陣を敷き、「前線からのプレスが生命線」というサッカーを追求する。

 J3時代から切り替えの速さやインテンシティの高さは相手監督から評価されてきたが、J2でも相手やボールに対して「キビキビと、それでいてバチーンと行く」のだ。相手のスキルが高くても、後半にガス切れの心配があっても「下がるな」と指示が出る。

 それを支えているのが、昨季に始まる厳しくも綿密なフィジカルトレーニングだ。J3最下位からのスタートだった昨季、小林伸二監督は選手に「走れない選手は使わない」と宣言したほどだ。

 今季第8節の昇格候補・徳島ヴォルティス戦(7月29日)では、試合終了間際に2点を追う相手DFラインが「ボールの出しどころがない」という状態に陥った。北九州の選手の距離感が完璧だったのだ。これは本当に凄いシーンだった。

 攻撃に転じればボール奪取時のよい距離感をそのまま活かしつつ、小気味よいオートマティズムを活かしながら、ショートカウンターをベースにゴールに迫る。

 そのスタイルで7月25日の第7節から8月29日の第15節まで9連勝中。11勝1分3敗でリーグ2位につける。首位のV・ファーレン長崎との勝ち点差は1。総得点28はリーグ最多、総失点13は2番目の少なさだ。

 多くはそのサッカーを「攻撃的」と評するが、筆者はある別の表現をしたい。

【次ページ】 小林「違うことをやってみようと」

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