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J一番の注目クラブは本当に攻撃的?
ギラヴァンツ北九州、快進撃の秘密。
text by
吉崎エイジーニョ“Eijinho”Yoshizaki
photograph byFAR EAST PRESS/AFLO
posted2020/08/31 20:00
小林伸二監督はスポーツダイレクターも兼任する総責任者として、クラブをJ3最下位より浮上させ、J2での躍進にまで導いた。
柱谷幸一監督の時代の方が攻撃的だった。
「守備を前に持っていった」
サッカーでの守備には2種類が存在する。ボールを奪いに行く守備と、ゴール前を固める守備。この点を改めて知らせてくれるサッカーでもある。そして早く奪えれば、理屈上は自陣ゴール前を固める負担は減る、というものだ。
ギラヴァンツ北九州ウォッチャーとして、この点に敏感な理由がある。2016年の降格の経験だ。この時の柱谷幸一監督下での4シーズン目のほうがよっぽど「攻撃的」だった。
2014年にチーム史上最高位、J2での5位を記録するなど結果を残していた「カウンター」に、「ポゼッション」の要素を追加しようとした。これが「攻撃的」ということ。「自分たちにボールがある」という前提での話なのだから。
サッカー観戦初心者にも楽しんでいただけそうなのが現在の北九州のサッカーだ。まるで「サッカー戦術本で教わりそうなこと」がリアルに再現されている。攻撃は、守備から始まっているんですよと。
「J3からJ2に昇格したクラブの傾向」を考える。
と、まだJ2で発展過程にあるチームを熱く語りすぎても仕方ない。
ギラヴァンツ北九州の現状が、Jリーグ27年の歴史のなかで何の意味があるのか。
あるレアなデータ回収に役立つ。
「J3からJ2に昇格したクラブの傾向」
この両リーグは「力の差が大きい」と言われている。筆者自身、今季開幕前に地元の新聞で「目標は何が何でも残留」と書いた。
J1、J2のスカウトはJ3の視察よりも大学のトップリーグを優先することが多いとも聞く。また近年はJ2で突出した選手がJ1のビッグクラブへと移る話も多いが、J3から上のカテゴリーの移籍は数えるほどだ。北九州のケースでも「J3最強(つまりJ2経験者多)」と言われた2017年、2018年に上のカテゴリーに移ったのは1人だけだった。2014年発足の3部リーグは、まだまだ「隔離された場所」なのだ。
そこから昇格したクラブのデータはじつに少ない。2020年時点で9つだが、今季昇格の2クラブを引いて「7」でデータを見てみよう。