プレミアリーグの時間BACK NUMBER
モウリーニョ、トッテナムを蘇生。
地味でも期待大な2年目のタイトル。
text by
山中忍Shinobu Yamanaka
photograph byGetty Images
posted2020/08/31 11:40
停滞したトッテナムを立て直したモウリーニョ監督。2020-21シーズンにさらなる存在感を見せるのか。
「喜んでもらえるシーズンに」
先日、ロンドン北部ではなく西部の街中にも、トッテナムの昨季の戦いぶりを追ったアマゾン社のドキュメンタリー番組『オール・オア・ナッシング』の看板広告が出現した。巨大なモウリーニョの横には「元監督の今が気になったりはしませんか?」の文字。だが、軽くいじられたチェルシーファンならずとも、9月12日にエバートンとのホームゲームで始まる現モウリーニョ軍、初のフルシーズンは気になるはずだ。
当のモウリーニョは、昨季終了後ファンに対して「喜んでもらえるシーズンにしたい」と告げた戦いに備え、トップ4争い復帰とタイトル獲得を狙うためのチーム作りを着々と進めているように見える。
さすがにポルト、チェルシー、インテルで実現した、監督として初めて開幕を迎えたシーズンにリーグ優勝を果たす再現は難しいかもしれない。とはいえ、レアル・マドリーとマンUでの就任1年目に続くカップ選手権での戴冠ならば、総工費10億ポンド(約1400億円)の新スタジアムを満員にすることが許されない状況、そして補強予算が限られていても、十分に可能性がある。
ポルト、マンUに続くEL制覇もある?
それは、優勝すればUEFAカップ王者となった1984年以来の欧州タイトル獲得となる、ヨーロッパリーグ(EL)にも当てはまる。
モウリーニョにとっては「CLに出られない場合に出る大会」にすぎず、チェルシーでの2度目の就任に際しては前シーズンのEL優勝を「シーズン失敗の証拠」とまで言ったが、過去にはポルト(UEFAカップ時代)でもマンUでも優勝している。CL出場権という“副賞”が付くことからも、今回は「出場3回で3度の優勝も悪くはない」という、実にモウリーニョらしい言い方で意欲と自信をほのめかしてもいる。
ELは決勝トーナメント1回戦に32チームが残ることから、「二足の草鞋」を履く体力を必要とする大会でもある。しかもトッテナムは、マンCが昨季2位となってCL出場権を得たことで、EL出場権が“おこぼれ”として回ってきた立場。予選2回戦からのスタートとなる。
そう考えれば、巷ではアメリカ行きも噂されたジョー・ハートをGK陣に加えた補強にも頷ける。