野球クロスロードBACK NUMBER
2年前の新人王が再び上昇気流に。
楽天・田中和基の「±0の気持ち」。
text by
田口元義Genki Taguchi
photograph byKyodo News
posted2020/08/28 08:00
プロ入り2年目の2018年に新人王に輝いた楽天・田中和基。好調楽天でスタメンを掴んだ。
こういう人間が、実は一番強かったりする。
±0からのスタートは二軍でも、プロ野球の光と影に触れた男は、悲嘆に暮れることなく黙々とバットを振った。20試合に出場し70打数21安打の打率3割。首脳陣を納得させるだけの結果を携えて一軍昇格を勝ち取った。そして、控えを経てスタメンとなり、輝きを取り戻そうとしている。まるで'18年の再来かとも感じ取れる道筋ではあるが、今の田中には熟成された経験がある。
そんな彼との会話で、忘れられない言葉がある。
春季キャンプでのこと。ぶら下がり取材を終えると、田中がボソッと呟いた。
「まあ、ゆっくりとやりますよ。気負って無理して、怪我をしてもしょうがないじゃないですか」
こういう人間が、実は一番強かったりする。