猛牛のささやきBACK NUMBER
采配的中!ガッツポーズも笑顔も。
新生オリックス中嶋監督代行の言葉。
text by
米虫紀子Noriko Yonemushi
photograph byKyodo News
posted2020/08/25 11:50
21日の中嶋聡監督代行就任以降、3連勝と勢いに乗るオリックス。“カンフル剤”で終わらせない戦いに期待したい。
言葉から伝わる中嶋監督代行の「意図」。
新体制になり3連勝と最高のスタートを切ったが、チームが変わるかどうかはまだわからない。今は監督交代というカンフル剤が効いているだけかもしれない。
ただ、取材をする立場から言うと、選手への思いや采配について、率直に言葉にする中嶋監督代行のコメントは、聞いていて面白いし、意図が伝わってくるので期待感がわく。
23日の試合では、今年育成から支配下登録され、この日一軍に初昇格した漆原大晟を、3点リードの9回のマウンドに送った。漆原は四球と安打で6-5と1点差に詰め寄られる。しかし、それまで早めの継投を行なっていた中嶋監督代行が、この時はベンチの最後列にどっかりと座ったまま動かなかった。昨年二軍で守護神として起用しセーブ王となった漆原を信じた。
最後は二塁手・大城の好守備にも助けられ、漆原は1点差で逃げ切り、初登板初セーブを飾った。
試合後、9回の判断について監督代行はこう振り返った。
「(抑えの)ディクソンは3連投になるので、今日は最後の最後のギリギリのところまで我慢しようと思っていて、それを踏まえて順番を決めた時に、漆原をケツにというプランでした。
プロ初登板なので緊張すると思っていたんですけど、点差が3点に開いて、ちょっと隙が出たというか。本来はあんなふうにうわずるんじゃなく、腕を振って思い切っていくタイプなんですけど、ちょっとだけ腕の振りが優しかったなと思います。(最後は)もう祈ってましたけどね、でも、大丈夫だと思ってました」
オリックスは現在19勝33敗4分の最下位(8月23日時点)。苦しい状況に変わりはないが、今シーズンはまだ半分以上残っている。初勝利の後の中嶋監督代行の言葉がすべてだ。
「もう、やるしかない。借金の数を見たら、簡単に上の話はできないですけど、目指さないと何も始まらない」
1戦1戦、貪欲に明るく勝利を求める先に、何かが見えてくる。