猛牛のささやきBACK NUMBER
采配的中!ガッツポーズも笑顔も。
新生オリックス中嶋監督代行の言葉。
text by
米虫紀子Noriko Yonemushi
photograph byKyodo News
posted2020/08/25 11:50
21日の中嶋聡監督代行就任以降、3連勝と勢いに乗るオリックス。“カンフル剤”で終わらせない戦いに期待したい。
初陣のスタメンに独自色。
キーマンを問われると「全員です」と具体的な選手名は挙げなかったが、初陣となった21日の西武戦のスターティングオーダーには、独自色がハッキリと表れていた。
この日一軍に昇格したばかりの大城滉二と杉本裕太郎が揃ってスタメンに名を連ね、4番には、中川圭太が今年初めて起用された。
中川はルーキーだった昨年、交流戦の首位打者に輝き、シーズン通しての得点圏打率も.360と勝負強さを発揮した。今年は打率.118と不調で、ファームで過ごした時期が長かったが、中嶋監督代行はその時期に自分の目で見た中川を信じた。ウエスタン・リーグでは23試合に出場してチームトップの23打点を挙げており、特に8月に入ってからの打率は4割を超える。
「もう期待しかないですよ。無敵な中川を見てましたので、そこを出してくれたらいいだけ。今までの率は関係ない。新しい中川だと思っています」
アダム・ジョーンズの大活躍。
その新指揮官の初陣で、見違える姿を見せたのは、5番・DHで出場したアダム・ジョーンズだった。
昨オフ、得点力不足という最大の弱点を補強するために、メジャー通算1939安打、282本塁打のジョーンズと大型契約を結んだ。しかし前半戦はそのジョーンズが誤算だった。緩慢な外野守備で足を引っ張り、打撃も打率.235、本塁打5本と、守備や走塁をカバーするほどの活躍はできていなかった。
それが、中嶋監督代行初采配の21日は、7回に同点本塁打を放つと、8回には決勝の2点タイムリー。1人で全3打点をたたき出しチームを勝利に導いた。
試合後、中嶋監督代行は、「長打が魅力で、ああいう劣勢でも一発で流れを変えてくれる選手。間違いなくこれぐらいは当たり前の選手ですので、特別びっくりするようなことはない」と言った。
そして、「中川あたりが決めるのかなと思ったんですけど、それでもA・J(ジョーンズ)が打ってくれて、(吉田)正尚もいて、ほんといい打線だなぁ」と笑った。
ジョーンズは翌日の22日には2本の本塁打で4打点、23日も3日連続となる決勝の本塁打。3日間で4本塁打、8打点という活躍で、チームを1カ月ぶりの3連勝に導いた。
中嶋監督代行は就任初日の試合前、ジョーンズと話をしたという。内容については明かさず、ジョーンズも「ポジティブな会話をした」としか言わないが、それまで腫れ物に触るような扱いだったジョーンズに、何らかの言葉で奮い立つきっかけを与えたことは確かだ。