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ファン2000人が善意で本拠地工事。
遠藤渓太加入ウニオンの熱が凄い。
text by
中野吉之伴Kichinosuke Nakano
photograph byGetty Images
posted2020/08/23 11:40
マリノスからベルリンの地へと旅立った遠藤渓太。プレシーズンで積極的なアピールを見せている。
「ケイタは素晴らしい才能を秘めた」
遠藤も、そうしたクラブ文化に順応することが求められている。
クラブは、新しい仲間が力を発揮できるよう様々なサポートをしている。フィッシャー監督は「いろんなことを体験させて、チームへの順応を助けるためだよ」という理由から、怪我で出遅れていた遠藤を練習試合にも同行している。
バードザアロウで行われたミニキャンプで遠藤と同室となったクリストファー・レンツは、部屋探しの手伝いをしたり、アジア料理の店を教えたりと親切に接しているという。レンツは「空腹にならないよう、いくつかのレストランを教えたよ。日本とドイツ料理の違いは大きいからね」と笑う。
獲得を決断したチームマネージャーのルーネルトは「ケイタは素晴らしい才能を秘めたとても興味深い選手だ。彼のスピードとテクニックは、必ずクラブの助けになる。日本でいろんな関係者と話をして、『今一番日本で才能のある若手選手は誰?』と訊くと、よく耳にしたのが遠藤渓太という名前だったんだ。まず大事なのは、彼のポテンシャルすべてをブンデスリーガで証明できるように、できるだけ早くドイツでの生活になじむことだ」と語っている。
高原、香川、清武を担当した通訳が。
フィッシャー監督は、スイスのバーゼルで2度のリーグ優勝、1度のカップ優勝を成し遂げていて、守備の規律を大切にするスタイル。遠藤がチームの守備戦術を理解し、頭で考えることなく実践できるようになるまでは、どうしても時間が必要だ。
大きな助けとなる通訳には、山森順平がつくことになった。高原直泰をはじめ香川真司、清武弘嗣ら多くの選手をブンデスリーガで支えてきた。ドイツサッカー界における日本人通訳の第一人者だ。
監督やチームメイトとコミュニケーションを取るうえで、信頼できる通訳がいてくれることは心強いだろう。だからといって人任せにするつもりはなく、遠藤は語学に対しても意欲を持って取り組んでいるようだ。