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ファン2000人が善意で本拠地工事。
遠藤渓太加入ウニオンの熱が凄い。
text by
中野吉之伴Kichinosuke Nakano
photograph byGetty Images
posted2020/08/23 11:40
マリノスからベルリンの地へと旅立った遠藤渓太。プレシーズンで積極的なアピールを見せている。
安全性のもと、満員のスタジアムを。
ファンがあって、チームがあって、クラブがある。それがウニオンなのだ。
だからいま、新型コロナウイルスの影響で観客を入れての試合が難しいとわかっていても、簡単に受け入れることはできない。来季開幕に向けて各クラブはそれぞれの地域の保健局と密にコンタクトを取り、「観客ありの試合はできそうか、できるとしたら、どのくらいの動員まで大丈夫そうか」というディスカッションをしている。
ウニオンは唯一「満員のスタジアムでの開幕戦」を目指している。
安全性を確保するために、クラブは全観客分の検査費用を受け持ち、24時間以内の陰性結果とチケットを持っている人をスタジアムに入れるようにしたいと、関係者も打ち出している。
「我々のスタジアムに求められているものは、距離を取って機能するものではないのだ。ともに肩を組み、クラブの歌を歌い、選手を鼓舞することができないなら、それはもはやウニオンではない。どんなときもファンとともにいるのがウニオンなのだ。
無策でやろうとしているんじゃない。観客とスタッフの安全を確保するためのやり方を模索している。満員のスタジアムで試合をしても感染者が出ないベストなやり方があるはずだ。ウニオンファンだけでなく、アウェーチームのファンにも同様の対応をしたい」
現実的には不可能であっても。
当然、ハードルは高い。ベルリン市は現時点で10月24日まで1000人以上の観客動員によるイベントを禁止している。現実的には不可能と言わざるを得ない。それでも、だ。壁が高かろうと、どれだけ不可能と言われようと、簡単に諦めるわけにはいかない。
熱くて深い絆で結びつくことを大切にするウニオンでは、ファンは全力を尽くす選手を愛する。どれだけ技術があっても、肩書があっても、過去の成績が素晴らしくても、ピッチ上で戦えない選手は認められない。そこは絶対に譲れない。