世代最強エース高橋宏斗が燃えた、
智弁4番・前川右京との格別な4打席。

　18.44メートルを隔てた距離で向き合った2人の間は、無言の会話がかわされているようだった。

　甲子園高校野球交流試合・第3日目の第1試合、甲子園常連校同士の対決となった中京大中京vs.智弁学園は、世代最強エースの中京大中京・高橋宏斗と1年生の頃から4番を打つ智弁学園の2年生主砲・前川右京の対決に魅了されたゲームだった。

　試合前から両者は、お互いを強烈に意識していたとそれぞれ語っている。

　まず、先発マウンドを任された高橋だ。

「前川選手は昨秋の大会8試合で6本塁打を打っていると知っていました。その印象でこの試合に入っていたので、絶対に抑えるという気持ちがあった。彼に打たれると5、6番とつながっていきますし、1つのキーポイントとしていました」

　一方、前川も高橋との対戦に気合いを入れていた。

「1年前の甲子園を経験している分、4番打者として成長した姿を見せようという気持ちでこの大会に挑みました。その中でプロ注目投手との対戦で、受け身になると打てないと思ったので、ピッチャーとバッターの“喧嘩”だと思って1打席目から思い切っていきました。相手の力が上だからこそ、中途半端なことはしないように、ぶつかっていく気持ちでした」

初対決はツーシームとストレートで。

　初対決は1回表だった。

　2死二塁から高橋が投じた初球はツーシームのボール。そこから高橋は3球連続のストレートを投じる。全て150キロ以上を計測する圧巻のストレートだった。カウント2－2となって最後はツーシームをセンターフライ。前川の体勢を崩した高橋の完勝だった。

　2打席目は高橋が初球のストレートでに152キロを計測し、これを前川が見逃し。しかし2球目はカットボールが死球となって痛み分けとなった。

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