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岡崎慎司が語るゴールと献身の価値。
来年はスペイン1部、次はイタリア?
text by
寺野典子Noriko Terano
photograph byAFLO
posted2020/08/09 11:50
プレミアリーグの優勝経験者がスペイン2部へ。そんな周囲の期待との距離感も、岡崎慎司だからこそあっと言う間に詰められた。
ここで仕事ができなかったら終わり。
マラガでの選手登録が叶わず、移籍マーケット終了間際で移籍したウエスカではサブチームに回ることもあった。
「ここで仕事ができなかったら、スペイン1部はおろか、もうプレーできる場所がなくなってしまう。このレベルで活躍できなかったら終わりだなと思うこともあった。だけどそんな現実すら受け入れて『とことん、ここ(2部)でチャレンジしてやろう』と思えたことが分岐点になったと思う。
カテゴリーを下げているのにサブになってしまう。そこからモチベーションを上げるのはやっぱり大変。だけどずっとフォワードで起用してもらっていたから、『あとは自分次第』と思い続けられた」
ウエスカはパスを繋ぐスタイルが定着しており、岡崎も中盤へ下がってビルドアップの一翼を担うことも少なくない。それでも、得点に直結するプレーの比重を下げることはなかった。
「リスクのないパス回しに参加するよりも、ボールが来なくとも前線で待つようなプレー、我慢するのほうが相手にとって脅威になり、チームのためになる場合もある。勝負すべきポイントで勝負しないと(自身が)終わってしまう。
今までは、僕自身がチームのスタイルに溶け込んで、成長すると考えてきたけど、そんなふうに僕が前で我慢することで、チームのスタイルにプラスアルファーを加えることもできたと思う」
点が獲れてはじめて他の部分も認められる。
今季12得点をマーク。オフサイドで取り消されたゴールも多い。ウエスカのサポーターが選出するクラブMVPにも選ばれた。
「やっぱり、結局は結果なんですよね。たとえばある選手がゴールを決めたとして、その選手へのマークを外すために囮になった選手の価値はなかなか評価されない。僕自身はそういうボールに関与していない選手の存在は大切だし、そこも見てほしいとずっと思っていた。『そういう仕事ができて、しかも点が獲れる』というフォワードも評価されるべきだと。
だけどウエスカでの自分に対する評価を見て思うのは、『点が獲れて、はじめて他のプレーも評価してもらえる』ということ。逆なのかもしれない」