“ユース教授”のサッカージャーナルBACK NUMBER
藤原優大が浦和と札幌に送った手紙。
思い出が詰まった埼スタで目指す夢。
posted2020/07/24 08:00
text by
安藤隆人Takahito Ando
photograph by
Takahito Ando
7月16日、青森山田高校のCB藤原優大の浦和レッズ入り内定が発表された。
180cmとCBとしては大型ではないが、高い跳躍力を生み出すバネとスピード、フィジカルの強さとバランスのとれた身体能力を持ち合わせ、利き足とは逆の左足の精度も高く、両足から正確なフィードを繰り出せる。高校世代ではトップクラスのDFだ。
彼がCBを始めたのは高1の9月。青森山田の黒田剛監督はもともとボランチやトップ下でプレーをしていた彼に、「ヘッドが強く、相手を潰すことができるし、フィードもうまい。CBの方が彼の能力が生きると思ったし、それにCBを任せられる人材が、人間性や能力、キャプテンシーも含めて、優大以上の適役は見つからないと思った」とコンバートを決断。実力、将来性、精神面すべてを含めて全幅の信頼を置いた。
指揮官の期待に応えるようにメキメキと頭角を現した藤原は、高1でAチーム入りすると、全国高校サッカー選手権大会では1年生として唯一ピッチに立ち、優勝を経験。昨季は不動のDFリーダーとして、高円宮杯プレミアリーグEASTとファイナルを制覇。そして準優勝に終わった選手権でも、2年連続決勝進出に大きく貢献している。
今年、最上級生となった藤原はキャプテンに就任。心身ともに名門校を引っ張る存在になった。順風満帆――側から見ればそう映るだろうが、彼は大きな葛藤を抱えていた。それは、自分自身の進路に対するものであった。
浦和と札幌から届いた正式オファー。
「どちらも素晴らしいクラブでなかなか決められなかった」
藤原のもとには、浦和の他に北海道コンサドーレ札幌から熱烈オファーが届いていた。両チームはともに、青森山田が準優勝に終わった昨季の選手権後に練習参加を要請。藤原は先に札幌の沖縄キャンプに参加すると、その後に浦和の練習に参加。どちらも高い評価を受け、2チームから正式オファーをもらったのだった。
「2月の段階では早く決めて、キャプテンとしてチーム(青森山田)の方に集中したいと思っていました。でも、自分でも驚くほど迷ってしまったんです」
真面目で、責任感が強く、実直な性格だ。この決断を下すまで、彼は悩みに悩んだ。新型コロナウイルス感染拡大の影響によって、考える時間が増えたことも影響した。