播戸竜二の送迎役を買って出た。

　当時J3のFC琉球に自ら志願して練習参加し、契約をもぎ取ることになる。金鍾成（キム・ジョンソン）監督（現在はJ3鹿児島ユナイテッド）から「俺は大学選抜に入っていた選手だろうが、大学で試合に出ていない選手だろうが、関係ない。自分の目で見て、今がどうなのか」と言われたことが励みになった。

　過去の実績じゃなく今の実力。

　センターバックからサイドバックにコンバートされ、コンスタントに出場していく。2年目の2018年にはＪ3優勝に貢献する。

　ここでも大きな出会いがあった。

　大宮アルディージャを退団してJ3にやってきた播戸竜二である。西岡は自宅から練習場に向かう送迎役を買って出たという。サッカーについていろいろと教えてもらいたかったからだ。

「バンさんとは1年しか一緒にいなかったですけど、1年しかやっていないんだっていうくらいの濃さでした（笑）。サッカーに対する姿勢や目標設定の仕方とか、いろんなことを学びました。元々、Ｊ2に上がるっていう目標はあったんですけど、バンさんは“そうじゃない。J3優勝して上がるんだ”と。毎試合、みんなにそう言ってました」

兄・大輝がプレーしていることも理由の1つ。

　怒られたこともある。クロスを要求されたのに、出せないことがあった。

「お前、そこで上げなかったらいつ上げるんだよ！」

　情けなかった。悔しかった。だから練習した。播戸のJ3での初ゴールは西岡がアシストしたもの。それが彼のちょっとした誇りでもある。

　優勝を遂げて目標を達成して2019年はJ2でプレーする。そして今年、オファーがあった愛媛に行くことを決めた。兄・大輝がプレーしていることも1つの理由だった。

「一緒にプレーしたいというのはずっとありました。兄貴は愛媛7年目で、つなぐスタイルも聞いていたし、ここでやってみたいな、と。裏に抜けるとか、推進力を高めるとか自分がアクセントをつけられるんじゃないかって思いましたから」

　入団後はケガで離脱する時期が続いたものの、しっかりとコンディションをつくってきた自負はあった。6月3日に結婚したことも発表して、再開初戦となる徳島戦に懸ける思いは強かった。

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