サムライブルーの原材料BACK NUMBER
四国ダービー、0-3から逆転の立役者。
愛媛FCのラッキーボーイ・西岡大志。
text by
二宮寿朗Toshio Ninomiya
photograph byEHIME FC
posted2020/07/18 09:00
6月27日、徳島ヴォルティスとの“四国ダービー”で4点目を決めて、0-3からの逆転勝利に導いた愛媛FCの西岡大志。
兄は5年ぶり、弟は移籍後初のゴール。
同点となる3点目を奪ったのはセンターバックの兄。CKからのボールをファーで待ち受け、右足で蹴り込んだ。
兄の5年ぶりとなるゴールと、移籍初出場の弟の初ゴール。
実は「ダービーでゴール決めてやろうぜ」と冗談っぽく話し合っていたという。背中を追いかけてきた兄が決めた後で、自分が決めてみせる。
こんなラッキー、滅多にない。
「一生の思い出と言っていいと思います。試合後も気持ちの高ぶりが収まらなくて、全然眠れなかったんです(笑)」
普段は大輝のことを「お兄ちゃん」と呼ぶ。お互いにディフェンダーながら尊敬する兄と2人で点を獲って勝つことができた。何があろうとも一生懸命、サッカーに向き合ってきたご褒美だと感じ取ることができた。
山口戦では2戦連発となる先制点。
1試合の活躍ならラッキーボーイの称号は得られない。
続くアウェー、レノファ山口戦では前半アディショナルタイム、コーナーキックから味方が当てたボールを胸で押し込んで2戦連発となる先制点を奪った。後半にチームは追加点を挙げ、勢いをもたらしている。
またしてもアディショナルタイム。それに徳島戦も、山口戦も振り返ればゴール自体、ラッキーなシチュエーションだった。
徳島戦は遅れてゴール前に入っていきながら、目の前にボールがこぼれてきた。山口戦は味方に当たったボールが自分の前に飛び跳ねてきた。
そこにいることが大事だった。
攻撃に厚みをもたらすために遅れてもいいからゴール前に入っていった。山口戦もそうだ。ゴールの可能性を信じて相手との競り合いに負けずに中に向かった。
「(CKで)ゴールの可能性が高いのは、外よりも中。1タッチで決められるように自分から入っていく感じで。相手の考える時間というのもなくなるし、その意味ではうまくいったゴールだとは思います」
4バック時はサイドバック、3バック時はウイングバック。持ち味のクロスを活かすべく、前への推進力という己の特長を出し切ろうと心掛ける。