リーガ・エスパニョーラ最前線BACK NUMBER
リーガのVAR運用は謎が多すぎ。
「30回以上見てもわからない……」
text by
横井伸幸Nobuyuki Yokoi
photograph byGetty Images
posted2020/07/12 11:40
VARを怪訝な表情で見つめるシメオネ監督(右端)。リーガのVAR運営にはどうも釈然としない面がある。
「もうVARがわからなくなった」
さらに第34節のセルタ対ベティスではVAR(と主審)への信頼を決定的に失わせる介入があった。
セルタのペナルティーエリア内に入ってきたグアルダードに向かってラフィーニャが足を伸ばしたプレーを主審はPKと判断したが、映像をチェックしたVAR担当レフェリーがその判定を疑ったため、オンフィールドレビューの後でPKを撤回したのだ。
ただし、PK判定は妥当だった。セルタのノリートも試合終了後「あれはPKだった」と語っている。テレビのレビュー映像から「明らかな判定ミス」は確認できなかった。
テレビのサッカー番組で主審の判定を解説している元副審ラファ・ゲレーロは、これを見て「もうVARがわからなくなった」と嘆いている。
しかしそれだけでは終わらず、彼は改善案を口にしている。
「副審の役割は副審に限られる。旗は握るが笛を吹くことはない。ならばVARもスペシャリストに任せればいいじゃないか。VARを担当する者がピッチで主審を務めることもあるなんておかしい」
仲間内で「判定」を判定し合う重圧。
VARの分業化は、ゲレーロだけでなく複数のメディアも提言している。
主審がVAR担当レフェリーを持ち回るいまのやり方は、仲間内で「判定」を判定し合うことになるので、VAR担当にも主審にも余計なプレッシャーがかかってしまう。
「お返し」を気にして間違いを指摘しない者もいるかもしれない。
また、主審とVAR担当では求められる資質に違いがあることも考慮されていない。
それらすべての問題は主審とVAR担当を分けることで解消できる。加えて、介入条件や判定の一貫性を確保することもできる。