マスクの窓から野球を見ればBACK NUMBER
花巻東vs.明桜で見た4人の投手。
名門校でさえブランクは大きいのか。
posted2020/07/12 11:30
text by
安倍昌彦Masahiko Abe
photograph by
Sports Graphic Number
不案内な土地に行ったら、その土地の人に訊いて教えていただくのがいちばんだと思っている。
以前は、わかりもしないくせに知ったかぶりをして、痛い目に遭ったことが何度もあった。懲りているからだ。
仙台は生まれ故郷だが、野球事情はそんなにくわしいわけじゃない。
土曜が七十七銀行のグラウンド。それだけ決めてやって来て、せっかく東北に来たのだから、もう1日野球の現場に……。
そういう時には、居合わせたスカウトの方に訊いてみることにしている。
明日はどこに行くんですか?
5球団のスカウトが、それぞれに「明日の現場」が違う。無名の高校生内野手の実力を確かめに行く人、福島の独立リーグの新戦力を見に行く人、コロナでまだ個人練習しかしていない大学の様子をのぞきに行く人。
明桜には投手に3本柱が揃う。
中に、高校野球の練習試合に足を運ぶというスカウトの方がいた。
花巻東(岩手)vs.ノースアジア大明桜(秋田)。
どちらにも、東北地区有数の本格派がいて、花巻東には左打ちの大型スラッガーがいる。
決めた、そこだ!
仙台からおよそ150キロ。レンタカーを飛ばして、朝から花巻に行って、午後は急いで仙台に戻って、東北高校で八戸学院光星との練習試合だ。
「弾丸ツアー」はいつものことだ。めったに来られない土地なら、"1つ”じゃ勿体ないさ。
今年の秋田・明桜には、3人の快腕がいると聞いていた。
昨年の秋は、佐々木湧生(182cm79kg・右投右打)が鋭いスライダーを武器にエース格として奮投していたが、今春は、同じ3年生の橘高康太(178cm74kg・右投右打)と長尾光(177cm72kg・右投右打)の2人の右腕が台頭して、強力3本柱を整えて「夏」を迎えようとしている。