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「タニ!フリー!」「落ち着け!」
柏vs.FC東京で響く“本気な神の声”。
text by
松本宣昭Yoshiaki Matsumoto
photograph byEtsuo Hara
posted2020/07/05 16:00
「リモートマッチ」の中で柏、FC東京の選手たちはチームメートのプレーを手助けする“神の声”を送り続けていた。
響き渡るFC東京の歓喜の声。
しかし、これに呼応するような柏の選手たちの声は聞こえなかった。
「インカーブでファーサイドに行って、折り返しを見たらモリくん(森重真人)が高い打点で中に入れてくれました。あとは触るだけでした。慌てず決めようと、一瞬頭をよぎりましたけど、落ち着いて決められました」
殊勲のゴールを決めた渡辺剛が語るように、柏守備陣は小川が蹴ったボールに目が行くあまり、ファーサイドに流れた森重と、ゴール正面で折り返しを待った渡辺を捕まえきれず。FC東京の選手たちの歓喜の声が、スタジアムに響き渡った。
百戦錬磨の森重がチームを引き締め。
とはいえ、その後も多くのチャンスを作ったのはホームチームだ。FC東京は1人多いにも関わらず、耐える時間帯が続いた。それでも、最後の一線は割らせず、冷静に時計の針を進めた。途中出場の若手選手が、強引に仕掛けようとすれば、最終ラインの森重がすかさず一言。
「落ち着け! 落ち着け! ボールを動かせ。動かせ!」
百戦錬磨の重鎮の声は、やはりチームを引き締める。コンディションや連係面では、まだまだ課題の残ったFC東京が、しっかりと勝ち点3を持ち帰った。