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サッカー界、2020年最大の新星。
ハーランド自身初のロングインタビュー。
text by
オリビエ・ボサールOlivier Bossard
photograph byIorgis Matyassy/L'Equipe
posted2020/07/01 18:00
欧州の名だたるスポーツメディアは、近い将来、ハーランドのスーパースターとしての地位を保証している。
もしハーランドが何も喋らず取材が終わったら……。
だが、そうした評判がどうであれ、ハーランドが今日のヨーロッパで最も注目される存在であるのは間違いない。様々な記録を塗り替え続け、PSGとのCLラウンド16第1戦でもチアゴ・シウバ=キンペンベのセンターバックコンビを翻弄した。そしてそんなハーランドについては、まだほとんど何も知られていない。
「彼が喋らなくてすぐに(インタビューが)終わってしまったら、残りの時間で写真をたくさん撮ってください」と広報が気を遣った。
ほどなく到着したハーランドは、車を降りるや「ボンジュール、さっそく始めよう」と笑顔でわれわれに近づいてきた。時間は無駄にできない。
「大丈夫?」と何度もハーランドが確認するなか5分でフォトセッションを済ませると、プレハブ造りの建物へと移動した。
「椅子に座って話そう。そのほうが楽だから」
こうしてインタビューが始まった。
「すべてをサッカーのために役立てること」
――インタビュー嫌いと聞きましたが本当ですか?
「誰がそんなこと言ったのかな?」
――どの記事にもそう書かれています。これまでの最長インタビューは、ノルウェーでおこなわれたもので8分だったとか……。
「いやいや、それは本当じゃない。誰がどんな質問をするかによるよ」
――あなたについて語るのであればいいのですか?
(肩をすくめて口を尖らせながら、「さあはじめよう」という仕草をする)
――この数カ月の間に生活が変わったと感じていますか?
「いや、そんなには変わっていない。僕は普通に選手としてドルトムントに来て、今も普通の選手だ。そこに変わりはない」
――誰もがあなたのことを話題にしているのを除けばですが……。イタリアでもイングランドでもスペインやフランスでも……。
「あなたはそう言うけど、僕は最近それらの国に行ってないからよくわからない。でも聞いて悪い気はしない。僕がいいことをしているということなんだろうか」
――ソーシャルメディアをやっているそうですが、ここ数週間はあなたの話題で持ちきりなのを見ましたか?
「たしかにやっているけど、僕は常に見ているわけじゃないし、自分について書かれていることを全部読んでるわけでもない。だからわからないよ」
――しかし新たなステイタスを得たのは悪くはないのでは?
「ああ、たしかに悪くない。でも僕が望むのは、すべてをサッカーのために役立てることだ。背後でそういうことが起こっているのはいいことかも知れない」