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元韓国代表ファン・ソンホンの悔恨。
国のために戦い、次はレイソルと……。 

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吉崎エイジーニョ

吉崎エイジーニョ“Eijinho”Yoshizaki

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photograph byYUTAKA/AFLO SPORT

posted2020/06/26 18:00

元韓国代表ファン・ソンホンの悔恨。国のために戦い、次はレイソルと……。<Number Web> photograph by YUTAKA/AFLO SPORT

2002年3月31日、Jリーグ1stステージ、vs.東京ヴェルディ戦でのファン・ソンホン。この試合、1-0で柏レイソルが勝利した。

リーグと代表の兼ね合いをどう捉えるべきか?

 ある国のトップレベルのストライカーとの濃いかかわりもまた、Jリーグの財産だ。

 そして27年のリーグの歴史のなかで、彼の軌跡は「得点王」という華やかさのみならず、また別の問題を投げかけている。

 リーグとW杯の兼ね合いをどう捉えるべきか。クラブ間の移籍については選手個人の意思を尊重する流れが常識化しつつあるが、これをどうするのか。ファン・ソンホンの行動は、クラブにとってはエゴだが、他のはるかに多くの人たちにとっては(母国を代表して戦ったのだから)大きな公共性を満たす行為になったことも確かだ。大局的な見地からこれを受け入れるべきなのか、抗議すべきか、あるいはプロとしての彼個人は「解雇」でその罰を十分に受けたのか。

 ちなみに鬼籍に入った当時の柏GM久米一正さんは「W杯前に韓国代表候補を獲得するものではない」と懲りていたが。「日本人選手にない熱い気持ちに期待して呼んだが、いざW杯となると赤いユニフォームに気持ちを奪われる」と。

歳を重ねて再び会えると嬉しいもので……。

 ファン・ソンホンのように得点王を獲得するようなコリアンJリーガーは今後出てくるだろうか? 

 コロナ禍でのJリーグ中断期間、パク・チソン、チェ・ヨンス、ホン・ミョンボ、そしてファン・ソンホンとの関わりを超個人的視点で振り返ってきた。

 筆者自身、時には打ち負かされ、助けられてきた。いずれにせよ「超大物感」との遭遇は興味深いものだ。日本と韓国、少々無茶をやるからこそ、歳を重ねて再び会えると嬉しい――そうも思える。

 今後は現役コリアンJリーガーの話を聞いていきたい。時代は変わり、日本は「若い世代が勝負する場」となっている。彼らがどんな思いで戦っているのか。聞き出していく。

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