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元韓国代表ファン・ソンホンの悔恨。
国のために戦い、次はレイソルと……。 

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吉崎エイジーニョ

吉崎エイジーニョ“Eijinho”Yoshizaki

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photograph byYUTAKA/AFLO SPORT

posted2020/06/26 18:00

元韓国代表ファン・ソンホンの悔恨。国のために戦い、次はレイソルと……。<Number Web> photograph by YUTAKA/AFLO SPORT

2002年3月31日、Jリーグ1stステージ、vs.東京ヴェルディ戦でのファン・ソンホン。この試合、1-0で柏レイソルが勝利した。

「得点王になったということを非常に光栄に思う」

 ところがファンはこの翌年の4月に成績不振のため監督を辞任してしまった。

 ちょうどその折、Jリーグ25周年記念のインタビュー企画が舞い込んだ。

 取材のオファーは韓国の国民的チャットアプリ「カカオトーク」で行った。返事が非常に迅速で、丁寧。しかも返事が遅れた際には「ごめんなさい」と入る。

 しかも取材当日、到着が少し遅れそうになると「駐車場が見つかりませんでした。おまたせしそうです」とまたメッセージが入る――かなりの紳士ぶりだった。

 依頼主から与えられた質問内容以外に、自分で聞きたかったことを2つ織り交ぜた。

――いまや、韓国のトップ選手は欧州に行く時代になりました。そういったなかでファンさんは「Jリーグ得点王」のキャリアを引退後も周囲に積極的に話すものなのですか? それともあまり言わないものですか?

 暗に「もう少し時代が遅ければ、欧州に行けたのではないか」「Jリーグではいいことも、悪いこともありましたよね」というニュアンスを入れた。

 え、何言ってるの? という表情を見せた。

「話しますよ! 私は海外のリーグで得点王になったということを非常に光栄に思うし、誇りにも思っています。特にFWはゴールに関して言えば、たとえ10回得点王になったとしても、すべてが大切なものです。私は本当に自負を持っています。韓国選手がこれまで成し遂げていないことですし、誰でも出来ることではないと思っています」

「残念だし、クラブとサポーターに申し訳なかった」

 さらに意地悪く質問を続けてみた。

――こういったものには、ご本人の認識があり、周囲の反応がある。後者はどうでしょう? 

「今は時間も経ち、周囲での私の選手時代の記憶も薄れていっていますが、当時のことを振り返る機会があればとても高く評価してくれますよ。なにせ、韓国選手が海外リーグで得点王になった唯一の例でもありますから。どんなリーグでも。そういう部分に関しては高く評価してくれますよ」

 何言ってんだ? Jリーグ得点王、最高だろ? と。

 柏時代の出来事は、いまでも「残念だし、クラブとサポーターに申し訳なかった」と言っていたが。

 ファン・ソンホンにとってのJリーグは、栄光もエゴも丸出しでぶつかったからこそ尊いのではないか。まずは応援している人がいて、サラリーを払うクラブがあるのに「全力ではなかった」などというのは絶対に許されるものではない。自身のまたもうひとつの勲章「W杯でゴール」を決め、そして最後は自分がクラブにフラれ、罰も受けた。間違いを認め、詫びた。

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