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ヤクルト開幕投手、石川雅規40歳。
頭脳と義侠心、身の丈に合う投球。 

text by

長谷川晶一

長谷川晶一Shoichi Hasegawa

PROFILE

photograph byKYODO

posted2020/06/19 07:00

ヤクルト開幕投手、石川雅規40歳。頭脳と義侠心、身の丈に合う投球。<Number Web> photograph by KYODO

高津監督が「150キロ、160キロを投げる投手より、印象に残るマウンドになるかもしれない」と期待する開幕投手の石川。

「一生、オレは石川さんについていく!」

 確かに彼には何度かインタビューをさせてもらった経験はあった。しかし、番記者でもなく、数年に一度程度の頻度で話を聞いただけの一取材者に向かって、ここまで丁寧に頭を下げてくれるとは想像もしなかった。

 突然のことに恐縮しつつ、こちらもあいさつを返すと、「今日は誰のインタビューですか?」と尋ねられ、「○○なら、もうすぐ練習が終わると思いますよ」と言葉をくれた。

 時間にして1分程度のやり取りだったけれど、この一件以来、「一生、オレは石川さんについていく!」と、突然「さん付け」をして誓ったのだった。

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 石川に行ったインタビューが、改めてよみがえる。これまでに何度か彼に話を聞いているが、いずれも石川自身の内面から出る「強い言葉」が印象的な時間となった。

石川が語る「エース論」とは?

 たとえば、「エースの条件」について問うたときに、石川はこんな言葉を口にした。

「エースというのはもちろん周りが決めることですけど、僕の中では“こいつに任せたら大丈夫だ”とか、“こいつなら絶対に勝てる”と思わせるのがエースだと思っています。でも、エースというのはグラウンド内のことだけじゃなくて、それ以外の要素もとても大きいと思います」

 かつて石川は、宮本慎也から「みんなは普段のお前の振る舞いを見ているんだぞ」と言われたことがあり、石川は今でもその言葉を肝に銘じて自らの行動を律しているという。

 あるいは、「理想の引き際」について尋ねたときは、力強い口調で石川は言った。

「一般的に、“ボロボロになるまでやりたい”って人と、“いいときに辞めたい”って人がいますよね。僕自身いろいろ考えて“どっちの考え方もあるな”って思っていたんだけど、最近は“ボロボロになるまでやりたいな”って思います。もう、“肩もひじもぶっ壊れたら辞めよう、そうすれば気持ちもすっきりするかな”って」

【次ページ】 「クレバーさ」「柔軟性」「義侠心」「思いやり」。

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