熱狂とカオス!魅惑の南米直送便BACK NUMBER
カズが変えたブラジルの日本人観。
“サッカー下手”を覆す偉大な功績。
text by
沢田啓明Hiroaki Sawada
photograph byHiroaki Sawada
posted2020/06/09 18:00
サントスFCの練習場にある、カズの壁画。今もレジェンドとしてその名を刻んでいるのだ。
現地誌の表紙を飾るほどの活躍。
この試合のカズの活躍は、翌日の新聞各紙で大きく取り上げられた。得点シーンの写真が、翌週のブラジル最大のスポーツ雑誌「プラカール」の表紙となった。
5月7日のグアラニー戦でも、見事なゴールを決めた。右サイドで後方からのロングパスを収めると、角度がない位置から右足で強烈なシュート。これが逆サイド上隅に突き刺さった。
6月上旬にサントスは日本へ遠征し、ヤマハ発動機、PJMフューチャーズと対戦。カズは2試合ともフル出場し、ヤマハ戦でゴールを決めた。
そして7月上旬、かねてから誘いを受けていた読売クラブへの移籍が発表された。ブラジルでの7年7カ月に及んだ武者修行を切り上げ、Jリーグ創設前夜でまだW杯にも出場していなかった日本のフットボールを盛り上げようと、帰国を決意したのである。
ラストゲームでキャプテンマーク。
7月21日、ブラジルでのラストゲームとなるイトゥアーノ戦が行なわれ、カズはキャプテンマークを巻く栄誉を与えられた。
サントスは快勝し、キャプテンは地元ファンからの最後のカズコールを聞いた。両手を高々と上げ、これまでの声援に感謝した。
2度目のサントス在籍中の成績は、28試合に出場して2得点。
当時は典型的なウイングで、ゴールへの意識はあまり高くなかった。それでも、記録した2点はいずれも見事なゴールで、その後のストライカーへの変身を予感させた。