サッカー日本代表PRESSBACK NUMBER
久保建英、代表デビューからの1年。
リーガ2得点が“右足”という非凡さ。
text by
戸塚啓Kei Totsuka
photograph byJFA/AFLO
posted2020/06/09 11:40
A代表デビュー戦後、久保建英は南野拓実(左)と中島翔哉(右)ら先輩と写真に収まった。所属クラブ、代表両面での出世争いにも注目したい。
コパ・アメリカでも自分の色を。
背番号が27から21になった久保は、チリとのグループステージ開幕戦にスタメン出場する。日本は東京五輪世代をズラリと起用した若いチームだが、チリは主力選手をキッチリ揃えていた。0-4の大敗も想定内だったが、久保は見せ場を作った。
64分には中山雄太とのパス交換でペナルティエリア左へ侵入し、至近距離から決定的なシュートを放った。ゴールを奪うことはできなかったものの、国際レベルでも戦っていけることを示した。
続くウルグアイ戦ではスタメンから外れたが、エクアドルとの第3戦では再び先発に名を連ねる。ここで久保は、ピッチを自分色に染めた。
彼が作り出した好機をチームメイトが決めていれば、ふたつか3つのアシストがついただろう。勝利の立役者となっていただろう。だが、グループリーグ突破を懸けたサバイバルマッチは1-1のドローに終わり、日本はブラジルを去ることとなった。
約2週間で4試合、そしてリーガ挑戦。
6月9日のエルサルバドル戦からおよそ2週間で、久保は国際Aマッチを4試合経験した。エクアドル戦後に記者に囲まれた久保は、「いまはあんまり、パッと成長したっていう感覚はないです」と落ち着いた口調で切り出し、「やれることはやったのかなあと感じます」と振り返った。さらに続ける。
「前を向いてからのドリブルとか、早いテンポでのパスとかは、外から見ているときからそれはできるだろうなと思ってましたけど、実際にやってみて自分の思惑どおりじゃないですけど、やれることはやれたので、そこは自信を持ってもいいのかなと思います」
慌ただしい日々は、ここからさらに加速していく。レアル・マドリーへ合流し、プレシーズンマッチで実戦デビューを飾った。短い時間でも存在感を見せたことで、2019-20シーズンの主戦場がリザーブチームから1部への期限付き移籍へ変更となる。
リザーブチームでプレーしていれば、トップチーム昇格のチャンスをうかがうことができる。一方で、1部の他クラブへ期限付き移籍すれば、3部相当のリザーブチームより高いレベルで自分を磨ける。伸び盛りの才能にはよりよい選択とも言えた。