サッカー日本代表PRESSBACK NUMBER
久保建英、代表デビューからの1年。
リーガ2得点が“右足”という非凡さ。
posted2020/06/09 11:40
text by
戸塚啓Kei Totsuka
photograph by
JFA/AFLO
絶賛疾走中である。
2019年6月9日、当時18歳の少年が日本代表デビューを飾った。久保建英だ。
2月下旬に開幕した'19年シーズンのJ1リーグで、久保ははっきりとした成長を見せていた。シーズン開幕からスタメンで起用され、守備に汗を流しながら自分らしさを発揮できるようになっていた。所属するFC東京はリーグ戦で首位に立っており、チームの結果に影響を及ぼす存在となった彼の日本代表入りは、誰もが納得できるものだっただろう。
デビュー戦のインパクトは鮮烈だった。ひとめぼれ宮城スタジアムを舞台とした一戦の対戦相手とスコア、それに得点者をすべて覚えている人は少なくても、67分からピッチに立った久保のプレーを記憶している人は多いに違いない。
デビュー戦後のマドリー移籍。
トップ下のポジションに入った背番号27は、73分にスタジアムを沸かせる。右サイドに流れて大迫勇也からパスを引き出すと、間合いを詰めてきた2人の間をスピードの変化ですり抜け、ペナルティエリア内まで持ち込んで左足シュートへ結びつけた。
78分にはクイックリスタートに反応して右サイドを突き、利き足ではない右足でクロスを送り込む。81分には左サイドからのクロスに自ら飛び込んだ。
ディフェンスのタスクも果たしている。周囲との連動でパスコースを限定し、素早いプレスバックで攻撃を遅らせる。ひとつひとつのプレーに無駄がなく、意図が伝わってくる久保のプレーは、ディフェンスにおいてもメッセージ性の強いものだった。
永井謙佑の2ゴールでエルサルバドルを2-0で下した一戦が終わると、久保の周囲は一気に騒がしくなる。6月14日にレアル・マドリーへの完全移籍が発表されたのだ。
久保自身はコパ・アメリカに出場する日本代表の一員として、開催国のブラジル入りしていた。世界最高クラスのメガクラブの一員となった18歳の日本人は、南米のメディアからも熱い視線を向けられることになる。