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久保建英、代表デビューからの1年。
リーガ2得点が“右足”という非凡さ。
text by
戸塚啓Kei Totsuka
photograph byJFA/AFLO
posted2020/06/09 11:40
A代表デビュー戦後、久保建英は南野拓実(左)と中島翔哉(右)ら先輩と写真に収まった。所属クラブ、代表両面での出世争いにも注目したい。
苦し紛れではない右足の2ゴール。
カタールW杯アジア2次予選を戦う日本代表にも、引き続き招集されていく。9月、10月、11月(U-22日本代表戦)と長距離移動を経験し、チームを一時的に離れることから、定位置争いで後退を強いられる場面もあった。
しかし、限られたプレータイムでも自らの価値を証明することで、マジョルカに自分の居場所を見つけることができている。
リーグ戦ではここまで3ゴールを記録している。
マジョルカは27節終了時点で2部降格圏の18位に沈んでおり、チーム総得点は28点である。数多くのチャンスを作り出すチームではないだけに、久保の3ゴールはひどく物足りない数字ではない。もちろん多くもないのだが、触れるべきは得点へのプロセスだろう。3ゴールのうちふたつは、利き足ではない右足で決めているのだ。
それも、苦し紛れではないのである。
2月21日のベティス戦で決めた一撃は、バランスの取れた自然なフォームから繰り出された。右利きの選手のようだった。3月7日のエイバル戦のシーズン3点目も、相手に誘導された右足のシュートではない。
以前からシュート練習に時間を。
スペインへ渡る以前から、右足のシュート練習にも時間を割いていたと聞く。その当時から、精度は高かったとも。
だとすれば、積み重ねてきた時間が結果に結びついたわけだ。自信を深めていると言うことができるだろう。
守備側に右足も意識させることができれば、駆け引きの幅が広がる。GKとDFはいくつものパターンを想定しなければならず、狙いどころを絞り込めない。久保からすれば余裕を持ってシュートへ持ち込めることにつながる。
6月4日に19歳の誕生日を迎えた。13日のリーガ再開初戦では、バルセロナと対戦する。代表デビューもコパ・アメリカ出場も記憶の彼方へと去り、久保は疾走感に富んだキャリアを過ごしている。