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63年ぶり無敗の牝馬二冠なるか。
松山弘平が語るオークスでの焦点。
text by
平松さとしSatoshi Hiramatsu
photograph byKyodo News
posted2020/05/22 20:30
桜花賞後にはダービーも示唆するなど、デアリングタクトに2400mの距離は問題ない。
レシステンシアに1馬身半差をつけて。
しかし、桜花賞の1カ月ほど前に30歳になったばかりのジョッキーは冷静だった。
「前との差が少し離れているのは分かっていました。でも終始手応えが絶好だったので、慌てなくても届くと思いました。だから直線に向いてからもすぐには追い出さず、少し経ってから腰を入れて追いました」
ベテラン然とした鞍上の冷静な判断に応えるようにパートナーが脚を伸ばした。再び調教師の述懐。
「右手前に変わったらもうひと伸びしてくれました。『あ、これならかわせる!!』と思いました」
2着の2歳女王レシステンシアにつけた差は1馬身半。しかし、それ以上に余裕の差し切りという感じでデアリングタクトは真っ先にゴールへ飛び込み桜の冠を手に入れた。
左回りも長距離輸送も大丈夫では。
桜花賞馬は宇治田原優駿ステーブルに放牧された後、オークスを目指し栗東の杉山厩舎に帰厩した。調教師は言う。
「思った以上に早く回復したので2週間だけの放牧で戻しました。調教ではとくにうるさい感じはないですけど、ジョッキーが乗った時だけは相変わらず少しテンションが上がります。桜花賞の時の事も踏まえ、今回は1週前も最終追い切りも単走にしました。1週前にしっかりやって直前はしまい重点というのは今までと同じパターン。間は詰まるけど、飼い葉も食べており、状態は良さそうです」
松山騎手も同意して語る。
「決して落ち着いているわけではないけど、体はとくに変わらず良く思えました」
右回りの1600メートルから左回りの2400メートルへ。初めてとなる長距離輸送も挟む。「調教の感じから左回りは気にならない」というのが2人の一致した意見だ。また、距離に関しては「あれだけしっかりした末脚があれば大丈夫ですかね?」と騎手にふると「そう思います」。
調教師も「憶測になるけど大丈夫でしょう」と言った後、更に口を開いた。
「東京競馬場には土曜日に入ります。過去3戦の京都や阪神では、週半ばの調教後に計った体重よりも競馬場へ着いた後に発表される体重の方が重いくらいなので、輸送に強いタイプだと思えます。今度は東京への長い距離の輸送になるけど、心配は不要でしょう」