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63年ぶり無敗の牝馬二冠なるか。
松山弘平が語るオークスでの焦点。
text by
平松さとしSatoshi Hiramatsu
photograph byKyodo News
posted2020/05/22 20:30
桜花賞後にはダービーも示唆するなど、デアリングタクトに2400mの距離は問題ない。
2戦目は一変してイレ込んだ。
「良い競馬をしてくれれば……という気持ちで送り込んだのですが、考えていた以上に強い勝ち方をしてくれました」と杉山調教師。「その後の調教もとくに変わらなかった」と続けたが、2戦目の競馬場で今まで見せなかった一面が顔を出した。
年が明け3歳となった2月。初戦と同じ京都競馬場、芝1600メートルのエルフィンS(3歳牝馬、オープン)がその2戦目の舞台となった。松山騎手が述懐する。
「初戦とは一変してイレ込んでしまいました。ゲート裏へ行ってから更にもう一段階テンションが上がる感じでゲートインした後もうるさかったです」
そのため出遅れて後方から追走する競馬になった。杉山調教師の弁。
「エルフィンSではジョッキーが跨ったらテンションが上がってしまいました。1度使った事で2戦目に気負う馬はよくいるので、それほど心配はしなかったけど、今後、何等かの対策が必要だとは思いました」
「ただ、競馬ぶりは良かったですね」と続けたように、後方を追走したデアリングタクトは、直線、大外から1頭だけ違う脚色で伸びて先行勢を一蹴。最後はほぼ持ったままにもかかわらず2着に4馬身の差をつけてゆうゆうとゴールインしてみせた。再び松山騎手。
「初戦で良い末脚を使ってくれたので、慌てずにじっくり乗って持ち味を生かそうという競馬をしたら、強い勝ち方をしてくれました。これなら桜花賞でもある程度やれそうだと手応えを掴みました」
桜花賞では更にうるさくなった。
2戦2勝で臨んだ桜花賞。まず陣営が心配したのはテンションだった。1週前追い切りに松山騎手が乗った時の模様を騎乗した本人は次のように語った。
「2戦目から更にうるさくなってしまいました。コースでの併せ馬だったのですが、力んでしまいうまく出来ませんでした」
鞍上の感想は杉山調教師の目にも同じように映っていた。
「テンションが上がり過ぎた事もあり、ササッてチグハグな併せ馬になってしまいました」