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デアリングタクトが歴史を作る?
オークス優勢を支える根拠の数々。
text by
島田明宏Akihiro Shimada
photograph byYuji Takahashi
posted2020/05/23 19:00
2020年牝馬クラシックの主役に躍り出たデアリングタクト。ここを勝って3冠に手をかけるか。
阪神1600mと東京2400mの関係。
デアリングタクトは、杉山調教師が「今まで一番よくなった」と言うほどの状態に仕上がっている。
祖母のデアリングハートは、府中牝馬ステークスを連覇したほか、NHKマイルカップ2着、ヴィクトリアマイル3着と、東京コースを得意にしていた。
良馬場での切れ味はエルフィンステークスで実証済み。ウオッカ、トールポピー、ブエナビスタ、ジェンティルドンナらがそうだったように、阪神芝外回り1600mで好成績をおさめた牝馬は、同じく直線の長い東京芝2400mでも強さを見せる傾向にある。
「歴史的オークス」のヒロインになる可能性はかなり高いと見た。
無敗の馬はもう2頭いる。
今回の出走馬のなかには、ほかにも2頭の無敗馬がいる。
2戦2勝のデゼル(父ディープインパクト、栗東・友道康夫厩舎)と、アブレイズ(父キズナ、栗東・池江泰寿厩舎)である。
いずれかが勝てば、'43年クリフジ、'46年ミツマサ、'57年ミスオンワード、'06年カワカミプリンセス、’19年ラヴズオンリーユーにつづく史上6頭目の「無敗のオークス馬」ということになる。
デゼルの母アヴニールセルタンは、'14年の仏1000ギニーと仏オークスを無敗で制している。そして父はディープインパクト。つまり、デゼルは、両親から「無敗のクラシック制覇」の遺伝子を受け継いでいるのだ。前走、スイートピーステークスの勝ち方が、実に鮮やかだった。上がり3ハロン32秒5という末脚で、デアリングタクトの桜花賞同様、別次元の強さを見せつけた。鞍上が、そのときと同じダミアン・レーンというのも強調材料になる。
もう1頭のアブレイズは、コントレイルと同じ「チーム・ノースヒルズ」が送り出してきた馬だ。この馬でJRA重賞初勝利を挙げた「逆輸入ジョッキー」藤井勘一郎の手綱さばきにも注目したい。