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消えた球春。日本ハム広報が語る
コロナ禍に飲み込まれた3カ月。
text by
高山通史Michifumi Takayama
photograph byHokkaido Nippon-Ham Fighters
posted2020/05/19 08:00
栗の樹ファームで自粛生活を送っていた栗山英樹監督。
約1カ月ぶりにグラウンドで練習を!
グラウンドキーパーなど設備担当者も自宅待機のため、グラウンドは使用不可となっていた。鎌ケ谷でも、札幌に自主練習拠点を置いていた選手たちも、黙々と屋内施設で自分たちだけで完結できるメニューを消化していた。本来であれば球春だが、日の光を浴びることもなく、個々に向き合ってきたのである。
北海道日本ハムファイターズは5月16日、自主練習を解除して3グループに分けての練習へとシフトした。鎌ケ谷では時差をつけて2グループ、札幌で1グループ。札幌組の栗山監督を含めて、コーチングスタッフも各組に配備された。
業務として、グループ練習スタート2日目の5月17日に鎌ケ谷を訪れた。抜けるような青空が広がる夏日だった。前日は降雨で室内練習場での始動となったため、選手たちが約1カ月ぶりにグラウンドを使用する節目の日だった。
選手だけでなくコーチたちも明るい表情に。
外野の芝生の上を心地良さそうに駆け回っていた。屋外でのフリー打撃では久々に飛距離、弾道を確認。屋内では体感できない感覚に、声を弾ませていた。内野手は、マスクを着用したままノックを打つコーチたちが放つ打球と格闘し、土の上でボールと戯れていた。
未知のウイルスでよどんでいたムードが、少しだけ変わっていた。明るく、解き放たれたエネルギーが充満していた。
チームとしては、1つの区切りとなるグループ練習を終えたその日。オンライン取材対応を依頼するため、一塁側ベンチ裏のロッカー前の通路で大田泰示選手を待っていた。大田選手は首脳陣に指示されたメニューをすべて消化し、汗びっしょりのままベンチへと腰掛けていた。水分補給し、一息入れていた。