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消えた球春。日本ハム広報が語る
コロナ禍に飲み込まれた3カ月。
text by
高山通史Michifumi Takayama
photograph byHokkaido Nippon-Ham Fighters
posted2020/05/19 08:00
栗の樹ファームで自粛生活を送っていた栗山英樹監督。
「野球やろうぜ!」と一心不乱に……。
引き上げてくるタイミングだと思っていた時だった。大田選手の声が、聞こえてきたのである。
「野球やろうぜ!」
バットを手にしてグラウンドへと再び、飛び出していった。年下の裏方スタッフをパートナーに、たった1人でロングティーを始めたのである。抱えていた渇望、本能のままにスタンドへと打球を放り込んでいた。一心不乱。それが、適切な表現の情景だった。
非日常の時間と闘い、日常の尊さを知った。
これまで深慮することがなかった日常がある幸せ――
いつの日か日常を取り戻し、それを実感してもらえるような社会のピースの1つになる。
北海道日本ハムファイターズは2020年、戦う意義をそこに見出すのである。