マスクの窓から野球を見ればBACK NUMBER
ドラフト指名ボーダーの選手たちを
大学の監督が自らプレゼン!2/4
text by
安倍昌彦Masahiko Abe
photograph byHachinohe Gakuin University
posted2020/05/26 11:30
八戸学院大の中道佑哉。線は細いが、逆に考えればここから体ができた時のパフォーマンスは計り知れない。
左腕の条件が4つ揃っている。
インステップ気味に踏み込んできて、テークバックが豪快。バッターから見て、こんなに打ちにくくて嫌なタイプもいないと思う。
「左バッター出身のスカウトの方なんかは、同じこと言いますね。あのフォームだと踏み込めないって。左腕ですから、まあすごいに越したことはないですけど、すごくなくても、打ちにくいとか、嫌らしいとか、リリースが見にくいとか、タイミングが難しいとか……そういう要素でも活路はありますからね。考えてみるとその4つ、全部持ってると思いませんか、中道って」
昨年の春、八戸学院大は、北東北大学リーグを制して「全日本大学選手権」に進んだ。そのリーグ戦でチーム9勝のうち、5勝負けなしだったのがこの中道投手だ。
「中道だって、着実にステップアップしてる。そこは、僕も認めてるんです。この春、秋までのキャッチャーが打つほうがはっきりしなくて、バッティングの効く別のキャッチャーにマスクかぶらそうと思ったんです。そうしたら、『自分たちが0点に抑えて勝ちますから、代えないでください』って言ってきたんですよ。
そうじゃないだろ、チーム全体の勝利を考えたらわかるだろ……って言って聞かせたんですけど、そこまで強いこと言えるようになったっていうのも、ある意味、成長なのかなぁって」
細い体は伸びしろでもある。
左バッターにとって攻略困難なタイプなのは間違いない。あとは、そのふところにきめられるコントロール。その技術を獲得できるかどうか。
「あの細い体をマイナスポイントに考えてる球団もあると思うんですけど、逆に、あの体でこれだけのボールが放れてることに注目してくれるスカウトもいるはずだと思ってましてね。プロのメシとトレーニングで体が出来てきたら、いったいどんなボールを投げるんだろう……そういう想像力を持った球団があってほしい。きっとある! と期待してるんです」