マスクの窓から野球を見ればBACK NUMBER
ドラフト指名ボーダーの選手たちを
大学の監督が自らプレゼン!2/4
text by
安倍昌彦Masahiko Abe
photograph byHachinohe Gakuin University
posted2020/05/26 11:30
八戸学院大の中道佑哉。線は細いが、逆に考えればここから体ができた時のパフォーマンスは計り知れない。
東日本国際大の破壊力がある左投手。
2年前の「全日本大学野球選手権」、富士大に佐々木健(現・NTT東日本)という左腕がいて、そのイキのいい投球がとても印象的だった。
同じ大会で同じ東北の東日本国際大に、同じ左腕で同じ「佐々木」。その力感で、どうしてこんなに破壊力のあるボールが……キラリと才能が光る投手がいた。
佐々木大輔(投手・172cm75kg・左左・山村学園高)、準々決勝の慶應義塾大戦のリリーフで、アウト4つのうち3三振を奪った投球はさらにイキがよく、余計に強烈な印象として残っている。
「去年の選手権は佐々木が背中を痛めていて初戦敗退でしたから、そのあと時間をかけて、半身の時間を長く作れて、腕を振る直前に体の左右を一気に切り換える本来のフォームに戻したんです。それだけに、今年は腕の見せ所だと期待してたんですが……右の蒔田(達広・183cm80kg・右右・小高工高)も一本立ちして、チームとしても“全国”で戦える年だったんですけどね」
春のリーグ戦が中止になって、仁藤雅之監督が悔しさの塊になっている。
監督は「待つのも仕事」と笑う。
20代で監督に就いて14年目、全国大会の常連にまでチーム力を引き上げてきた。
「全体練習の1時間も前からグラウンドに来て、自分で走り込んで、筋トレやって、全体が終わった後も、また1人で走ってトレーニングやって…歴代でNo.1でしょうね、佐々木の練習熱心と取り組みの真剣さは。とにかく、見たことないぐらいの負けず嫌いで」
なかばあきれるように、仁藤監督が教えてくれた。
「それだけ、努力してるって自負も強いんでしょうね。ちょっと完璧を求めすぎるようなところがあって、こっちから見てると十分好投してるのに、自分が満足しないとカッカして自分で自分を崩してしまうような……。
いい悪いじゃなくて、まだ野球が幼いんでしょうね。調子がよくないこともあるんですから、そうならそうと現実を受け入れて、緩急で打ち損じを誘ったり、それなりの投球をできるようになれば」
そういうながらも、佐々木の若さも「伸びしろ」だと思って楽しみにしているという。
仁藤監督は「待つのも仕事」だと笑う。