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ヴィクトリアMに最強牝馬が降臨。
アーモンドアイの状態は戻ったか。
text by
島田明宏Akihiro Shimada
photograph byKeiji Ishikawa
posted2020/05/16 19:00
アーモンドアイにとっての「いつも」が天皇賞・秋を完勝した時の状態を指すならば、ここでも期待値は極めて高い。
「いつものアーモンドアイ」ならば。
結局、アーモンドアイは、検疫と輸送という大きな負担を背負わされて帰国することになった。
どうしても心身の疲れが心配になってくるが、国枝調教師によると、特にダメージはなく、回復も早かったという。
ならば、レースを使わなかったぶん、昨年の安田記念(3着)のときより、むしろフレッシュな状態で臨めると見るべきなのか。安田記念の敗因は明確で、スタート直後に他馬に寄られて位置取りが悪くなり、直線でもスムーズに進路が確保できなかったことだ。
ここで歴代最多タイの芝GI7勝目を挙げ、昨年の天皇賞・秋のように国枝調教師を驚かせ、また「おっかないな、すごいな」と言わしめることができるか。
追い切りの動きはこれまでどおりで、「いつものアーモンドアイ」と国枝調教師は言う。
「いつものアーモンドアイ」なら、超ド級のパフォーマンスを期待していいだろう。
ライバルたちも虎視眈々。
昨年無敗でオークスを制したラヴズオンリーユー(牝4歳、父ディープインパクト、栗東・矢作芳人厩舎)も、アーモンドアイ同様、ドバイに渡ったもののレースが中止となったため、そのまま帰国した1頭だ。
矢作調教師は管理馬の状態を包み隠さずファンに伝えることで知られている。この馬が絶好調と言える状態で出られたのはオークスだけで、今回はベストの状態ではないという。
しかし、フレグモーネで桜花賞を断念せざるを得なくなったにもかかわらず、無敗でオークスを制するなど、アクシデントを乗り越えてきた素質馬だ。アーモンドアイを脅かす可能性は十分ある。
一昨年の2歳女王ダノンファンタジーも、マイルならほぼ崩れない。
複数年にわたって上位に来るリピーターが多いレースなので、昨年の勝ち馬ノームコアもただでは終わらないだろう。
重賞を3連勝しているサウンドキアラも、鞍上の松山弘平の勢いも手伝い、上位に食い込んできそうな気配を漂わせている。