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伏兵ラウダシオンはなぜ勝てた?
斉藤師が語る武豊&デムーロ効果。
posted2020/05/12 20:00
text by
平松さとしSatoshi Hiramatsu
photograph by
Kyodo News
5月10日、東京競馬場で行われたNHKマイルC(GI、3歳、芝1600メートル)を優勝したのはラウダシオン(牡3歳、栗東・斉藤崇史厩舎)だった。
単勝は29.6倍の9番人気。ダークホースでの優勝という事で、手綱を取ったミルコ・デムーロ騎手の好騎乗ばかりを取り上げる記事が目立つ。実際、その通りなのだが、管理する斉藤崇史調教師に話を伺うと、また別の面も顔をのぞかせる。
いや、斉藤調教師もやはり「ミルコの騎乗によるところが大きい」とは言っているのだが、そのあたりをもう少し詳らかにしていこう。
話は3月14日まで遡る。
この日、中京競馬場で行われたファルコンS(GIII、芝1400メートル)で1番人気に推されたのが誰あろうラウダシオンだった。武豊騎手を背に好スタートを決め、好位を進んだ同馬だが、最後にシャインガーネットに差され、2着に敗れてしまった。斉藤調教師は述懐する。
「重い馬場はこなせると思ったけど、展開的に前の馬には厳しくなってしまいました。勝ち馬とは斤量差もあったので仕方ないと思いました」
人気上位は軒並み重賞勝ち馬だった。
掲示板に乗った5頭のうちラウダシオンを除く4頭は皆、3コーナーではまだ中団かさらに後方にいた。ラウダシオンだけが4番手。前半の3ハロンが33秒台だったのに対し上がりの3ハロンは35秒8も要しており、間違いなく先行勢には厳しい流れだった。
それを思えばラウダシオンの2着というのは価値があったわけで、今回のNHKマイルCでここまで人気を落としたのは不思議とも言えた。しかし、これには斉藤調教師も「仕方なかったのでは……」と言う。
「1番人気のレシステンシアはGI馬(阪神ジュベナイルフィリーズ1着)だし、他の人気上位馬たちも軒並み重賞勝ち馬でした。それに対してラウダシオンは重賞で好走こそしているものの勝てていませんでした。実績に劣るのは事実なので、果たして自分の競馬をしてどこまで出来るかな? という思いでした」