プロ野球亭日乗BACK NUMBER
プロ野球、コロナ禍でチアリーダーや
ビールの売り子はどう過ごしている?
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph byYOKOHAMA DeNA BAYSTARS,Sena Maeda
posted2020/05/15 19:00
「diana」のキャプテンFukaさん(左)と東京ドームや神宮球場でビールの売り子をしている前田星奈さん。
チアリーダー部に所属しながら、売り子のバイトを。
グラウンドを彩る花がパフォーマンスチームだとすれば、スタンドを彩る花はビールの売り子として働く女性たちである。
東京ドームを主戦場に売り子歴3年目となる前田星奈(せな)さんは、石川県の野球の名門・星稜高校を卒業して都内の大学に通う20歳の女子大生でもある。
「私はとにかく野球が好きで、大学に入る前から東京ドームに家族で野球を観戦に来たりしていました。そのときにビールの売り子さんを見て、東京に出ると決まったときにはやろうって決めていました」
大学に入学するとチアリーダー部に所属しながら、同時に売り子のバイトを始め、いまは東京ドームを中心に神宮球場でもスタンドに立っている。
サワーから入ってビールを担当できるように。
「高校時代は陸上部でいまはチア。動くことが好きで売り子さんも階段の登り下りとか大変ですが、体力的には自信があって体を動かすのが好き。それもあってバイトとしては“天職”だと思っています。
このバイトって最初はビールの売り子はなかなかできなくて、私もサワーから入ってビールを担当できるようになりました。3年目の今年は特に頑張りたいと思っていたところだったんです」
すでに3月と4月のシフトも提出して万全の態勢で開幕を待っていたが、そこで起こったのが、新型コロナウイルスの感染拡大によるオープン戦の無観客試合から開幕の延期という事態だったのである。
「2月の終わりか3月の頭くらいにメールで『皆さんもご承知と思いますが、こういう状況なので申し訳ないですが待機してください』という連絡が来ました。いつ開幕するのか……。先が見えるなら待てるんですけど、終わりが見えなくて、いつどうなるか分からない。そこがすごく不安ですね」