プロ野球亭日乗BACK NUMBER
プロ野球、コロナ禍でチアリーダーや
ビールの売り子はどう過ごしている?
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph byYOKOHAMA DeNA BAYSTARS,Sena Maeda
posted2020/05/15 19:00
「diana」のキャプテンFukaさん(左)と東京ドームや神宮球場でビールの売り子をしている前田星奈さん。
月15日程度の出勤で20万円以上を稼ぐ人も。
いまは自宅で自粛生活を続けながら、学校はネットでの授業が始まっている。売り子のバイトがなくなって、1日のタイムスケジュールも当然、変わってきているという。
「普段は売り子の集合が午後4時半くらい。それまでに球場に入るので、学校は午前中の1限から3限までに授業を入れていたんです」
それが現在は暇な時間を作らないように授業を1限、3限、5限と分けて入れて、その合間に色々な用事を済ませたり、ネットやテレビで動画やユーチューブなどをチェックするなど時間の有効活用を意識しているという。
人気の売り子さんになると、月15日程度の出勤で20万円以上を稼ぐ人もいる仕事。前田さんも親の仕送りを受けながら、他のアルバイトも掛け持ちして東京生活をやりくりしてきたが、そのアルバイトが全てなくなって経済的にはギリギリの日々が続いている。
不特定多数と接する売り子さん。
「試合のない日は学校の近くの野球居酒屋さんでもアルバイトしていたんですが、緊急事態宣言で飲食店も営業自粛になって、そっちのバイトもできていないので大変です。親の仕送りと、貯金を切り崩していますが、節約して生活しています」
開幕しても、当面の間は無観客で試合は行われる。
スタジアムをファンが埋め尽くして、その中をビールのタンクを背負った売り子さんが走り回るあの野球場の景色を取り戻すまでには、まだまだ時間がかかり、先行きの見通しは全く立っていないというのが彼女たちの実情だ。
しかももし始まったとしても、不特定多数と接する売り子さんの仕事は感染への不安を抱えることにもなる。
「いまの状態だとやっぱりちょっと気にはなりますね」
その点を聞くと前田さんは不安そうな声を出した。それと同時にこのコロナ禍では新たにこんな苦労も出てくるという。