リーガ・エスパニョーラ最前線BACK NUMBER
ピケ「試合なしでおしまいは……」
シーズン再開望むリーガの本心。
text by
横井伸幸Nobuyuki Yokoi
photograph byGetty Images
posted2020/05/15 11:50
再開されたバレンシアの練習場には、マスク姿で高級車を乗り付ける選手の姿が。今までとは確実に違う光景である。
約1050人のうち15%が抗体を保持。
そして練習が終わったらクラブが用意した生分解性のバッグを受け取って、できるだけ早く自分の車に向かわねばならない。バッグには翌日用の練習着が入っているので、代わりに汚れた練習着を入れて翌日チームの担当者に渡さねばならない。
それに加えて、クラブに指示された日時に2度目の抗体検査を受けねばならない……。
5月10日、リーガはフェーズ1のPCR検査によって選手5人とテクニカルスタッフ3人の新型コロナウイルス感染が確認されたことを発表した。
被験者は総勢2500人ほどなので、陽性率は0.3%強である。リーガのハビエル・テバス会長は1%から1.2%になるだろうと予想していたらしい。
また、今回の検査で抗体を持っている選手が160人いることも確認されたと、スペインの複数のメディアが報じている。検査を受けた選手総数は1050人ほどだから、約15%が本人も知らぬ間に(知っていたのかもしれないが)感染し、回復していたということだ。
スペインのGDPの1.37%がサッカー!
10日夜、あるテレビ番組に出演したテバス会長は、これらの数字とリーガが医療関係者の協力を得て策定した細かい手順の効果を踏まえ、感染の再流行がなければ6月12日にシーズンを再開させたいと語った。
加えて強調したのは、試合の安全性だ。
「サッカーは接触によって新型コロナウイルスに感染してしまうスポーツではない。汗を通じてウイルスに感染することはない。シーズンが再開したらキックオフの24時間前に両チームの全選手に検査を行うから、試合中の感染リスクは実質ゼロだ」
リーガが、中断中のシーズン完遂に躍起になっている背景には経済的事情がある。最も重要なのは2019-20シーズン分のテレビ放映権収入を予定どおり確保することだろうが、スペインのGDPの1.37%を占めるサッカー産業を活性化すれば、18万5000人分の雇用が創出されるともリーガは考えているのだ。